腱板断裂|松本市の整形外科|鈴木整形外科

院長ノート DOCTOR-NOTE

腱板断裂

腱板断裂とは?

腱板断裂は、肩の回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる筋肉群の腱が部分的、または完全に切れてしまう状態を指します。回旋筋腱板は、肩甲骨から上腕骨に付着する筋肉群であり、肩関節の安定性と可動性を保つ重要な役割を果たしています。具体的には、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)の4つの筋肉から構成され、これらが一体となって肩関節の動きをサポートしています。
腱板断裂は、特に中高年に多く見られる肩の障害です。老化に伴う腱の変性が主な要因ですが、転倒や重い物を持ち上げる際に起こる外傷も原因となり得ます。また、スポーツ選手や肩を酷使する職業の人々においても、反復的な動作により腱が摩耗し、断裂に至ることがあります。

症状

腱板断裂の症状は、軽度から重度まで幅広く、以下のようなものが見られます。

  • 肩の痛み
  • 特に夜間に痛みが強くなることが多く、寝返りを打つ際に痛みで目が覚めることがあります。痛みは肩の外側や上腕にかけて広がることがあり、特に肩を上げる動作で強く感じられます。

  • 肩の可動域の制限
  • 腕を上げる、後ろに回すといった動作が難しくなります。重度の場合、日常生活で必要な動作(例えば、物を取る、服を着る)ができなくなることもあります。

  • 筋力低下
  • 腱が断裂することで肩関節を安定させる力が失われ、肩全体の筋力が低下します。特に、腕を上げたまま保持することが困難になります。

  • 肩の動作時の違和感
  • 腕を動かす際に「ガクッ」とした感覚や、不安定な感じを覚えることがあります。

原因

老化による腱の変性

年齢を重ねると、腱の血流が悪くなり、弾力性が低下します。これにより、腱が脆弱になり、断裂しやすくなります。特に50歳以上の人々に多く見られます。

急な外傷

転倒や腕を急激に引っ張られた際、または重い物を持ち上げた時に腱板が損傷することがあります。この場合、若い人でも腱板断裂が生じることがあります。

繰り返しの肩の使いすぎ

特定のスポーツ(野球、テニス、バレーボールなど)や、肩を頻繁に使う作業(建設業、工場労働など)を長年続けるこで、腱板に負担がかかり、徐々に断裂が進行することがあります。

診断

問診・触診

まずは患者の症状や過去の肩の怪我、痛みの発生場所、日常生活での不便さについて詳細に確認します。触診では、肩周囲を直接押して痛みがあるかを確認します。また、肩を動かした際の可動域の制限や筋力低下が見られるかも評価します。

画像診断

正確な診断を行うために、以下の画像検査が実施されることが多いです。

レントゲン
骨の異常や、肩関節に石灰沈着があるかどうかを確認します。腱自体は映りませんが、腱板断裂がある場合、肩関節が不安定になり骨の変形が見られることがあります。
MRI検査
腱板断裂の有無やその程度、周囲の組織の状態まで詳しく調べることができます。特に手術が検討される場合には、正確な診断が必要となります。
超音波検査
動的な検査が可能であり、肩を動かしながら腱の損傷を評価できます。また、非侵襲的で患者への負担が少ない検査です。

当院では、MRIは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。