
1. はじめに
寒い日が続き、いよいよ松本市でも本格的に雪が降り始める時期になってきました。
この時期に、当院の外来で急増するのが**「雪かき中に腰を痛めた」**という患者様です。いわゆる「ギックリ腰」ですが、ひどい場合はその場から動けなくなることもあります。今回は、雪かきによる腰痛の対処法と予防策についてお伝えします。
2. 雪かきで起こるギックリ腰(急性腰痛症)とは?
ギックリ腰は、医学的には**「急性腰痛症」**と呼ばれます。
雪かきのような重労働によって、腰を支える筋肉や筋膜、関節(椎間関節)などに急激な負荷がかかり、炎症が起きている状態です。「ただの筋肉痛だろう」と放置すると、慢性化したり、椎間板ヘルニアに繋がったりすることもあるため注意が必要です。
3. なぜ雪かきは腰を痛めやすいのか?
理由は大きく3つあります。
1. 冷えによる筋肉の硬直: 寒い屋外では血管が収縮し、筋肉が柔軟性を失っています。
2. 「前かがみ」の姿勢: 中腰で雪をすくう動作は、直立時に比べて腰に数倍の負荷がかかります。
3. 「ひねり」の動作: すくった雪を横へ放り投げる際、腰をねじる動きが加わることで、腰椎へのダメージが最大になります。
4. ギックリ腰になってしまった時の初期対応
もし「やってしまった!」と思ったら、まずは無理をせず以下の対応をしてください。
• 安静にする: 痛みが強いときは、横向きに寝て膝を軽く曲げる「エビのような姿勢」が最も腰への負担が少ないです。
• 冷やす: 受傷直後(48時間以内)で熱感がある場合は、氷嚢などで15分ほど冷やすと炎症が落ち着きやすくなります。
• 無理に動かさない: お風呂で温めすぎたり、無理にストレッチをしたりするのは逆効果になる場合があります。
5. 受診の目安:こんな症状はすぐに整形外科へ
以下の症状がある場合は、単なるギックリ腰ではない可能性があります。早急に受診してください。
• 足にシビレや力が入らない感覚がある。
• 痛みで全く動くことができない。
• 排尿や排便に違和感がある。
• 安静にしていても痛みが全く引かない。
6. 当院での治療方針
①急性期(痛みが強い時期)
まずは痛みをコントロールします。
消炎鎮痛剤(飲み薬)や貼り薬の処方、必要に応じてコルセットによる固定を行います。
②回復期(動き始められる時期)
痛みが和らいできたら、リハビリテーションを開始します。硬くなった筋肉をほぐし、腰を支える体幹の筋力を取り戻すことで、再発しにくい体づくりをサポートします。
7. 腰への負担を減らす「雪かきのコツ」
予防に勝る治療はありません。以下のポイントを意識しましょう。
• 股関節、膝関節をしっかり使う: 腰を曲げるのではなく、股関節、膝関節を曲げて腰を落とし、体全体で雪を持ち上げます。
• 一度に欲張らない: スコップに乗せる雪の量は控えめに。
• こまめに休憩: 長時間の作業は避け、30分に一度は立ち上がって腰を伸ばしましょう。

8. 日常生活での工夫
作業前には室内で**「準備体操」**を行い、体を温めてから外に出ることが大切です。また、作業後はゆっくり湯船に浸かり(※痛みが激しい時期は除く)、しっかり睡眠をとって筋肉の疲労を回復させましょう。
9. まとめ
雪かきは想像以上に全身を使う重労働です。「自分は大丈夫」と思わず、少しでも腰に違和感を感じたら早めにご相談ください。皆様が安全に冬を過ごせるよう、当院がしっかりサポートさせていただきます。
