中高年男性に多い 肩の痛みと引っ掛かり|松本市の整形外科|鈴木整形外科

院長ノート DOCTOR-NOTE

中高年男性に多い 肩の痛みと引っ掛かり

当院のある松本市島立地区は田んぼが多く、日々、季節の移り変わりを目の当たりにしています。はぜ掛けの光景が終わり、北アルプスの山々が雪を被ってくると、いよいよ冬が近づいているのを感じます。 さて、今回は肩の痛みについてのお話。 当院には「肩が痛んで夜に眠れない」という中高年の男性が多く来院します。つい先日来院した農家の男性は、「五十肩かな」と言うのですが、診断してみると肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)でした。 主な症状は次のとおりです。
  1.  1. 肩を上げ下げするときに、痛みや引っ掛かりがある。
  2.  2. 夜間にうずくような痛みがある。
  3.  3. 腕を上げると肩がゴリゴリと音がする。
病態 肩腱板は肩関節の支点になる部分で、肩腱板断裂はそのすじが切れた状態です。40歳以上の男性に多く、発症年齢のピークは60代です。 五十肩の場合、腕が上がらないだけでなく左右や前後にも回らず、動きが制限されます。一方、肩腱板断裂の場合は、腕の上げ下ろしで痛みを感じますが動きの制限はありません。 腱板の状態を診断するために、X線では腱板自体が映らないため、MRIや超音波検査を行います。 肩腱板断裂 原因 転倒や強打、重い物を持ち上げたときの急激な負荷などによるものが半数。残りの半数は、特定の原因はなく日常生活の中で断裂がおきます。右肩に発症することが多く、力仕事や運動による肩への負担の蓄積、また老化が原因で発症します。先ほどの男性の場合は、長年の農作業で肩腱板を使いすぎて擦り切れた可能性が考えられます。 治療 治療方法としては、保存療法と手術療法の2つがあります。 保存療法は、三角巾で腕を吊り1〜2週間安静にします。内服薬や注射で炎症を抑え、痛みが落ち着いてきた段階で腱板の働きを高めるリハビリテーションを行います。断裂部が治癒することはありませんが、多くの場合はこの療法で症状が軽くなります。 保存療法で症状が改善しない場合は、断裂部を縫合する手術を行います。通常の手術(直視下手術)と内視鏡を使った手術(鏡視下手術)とがありますが、体への負担が少ない鏡視下手術が主流になっています。 症状を放置すると断裂部が悪化する恐れがあります。肩に痛みや違和感があれば、早めに受診しましょう。