TFCC損傷の治療は、症状の重さや原因によって異なります。大きく分けて保存療法と手術療法に分類されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
軽度のTFCC損傷の場合には、保存療法で改善することが期待できます。保存療法の主な目的は、痛みや炎症を抑え、手首の機能を回復させることです。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、筋力トレーニングやストレッチを行います。手首や前腕の動きを改善し、筋力を高め、機能を回復させます。また、日常生活での動作指導を行い、再発防止のために正しい姿勢や動作を習得するお手伝いをします。
患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。理学療法士の専門知識を活かし、症状回復を目指します。手首の痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
具体的なリハビリテーションの内容としては、以下のようなものがあります。
- ストレッチ
- 手首や前腕の筋肉の柔軟性を高めます。
- 筋力トレーニング
- 手首や前腕の筋肉を強化します。
- 手関節モビライゼーション
- 手首の関節の動きをスムーズにします。
薬物療法
痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの痛み止めを処方することがあります。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(炎症の原因となる物質:プロスタグランジン類)
手術療法
保存療法で効果がない場合や、重度のTFCC損傷の場合には、手術療法が検討されます。
手術では、損傷したTFCCを修復したり、切除したりします。
TFCC縫合術
損傷したTFCCを糸で縫い合わせて修復する方法です。この手術は、TFCCが断裂しているものの、断裂の程度が小さく、周囲の組織の状態が良い場合に適応となります。TFCC縫合術は、TFCCの機能をできるだけ温存できるという利点がありますが、縫合した部分が完全に治癒するまでには時間がかかり、再断裂のリスクも残ります。
TFCC切除術
損傷したTFCCの一部または全部を切除する方法です。この手術は、TFCCが大きく断裂している場合や、変性によってTFCCが薄くなったり、もろくなったりしている場合に適応となります。TFCC切除術は、TFCC縫合術に比べて手術が比較的簡単で、痛みの原因となる部分を直接取り除くことができるという利点があります。しかし、TFCCの一部または全部を切除するため、手首の安定性が低下する可能性があります。
尺骨短縮術
尺骨を短くすることでTFCCへの負担を軽減する方法です。この手術は、尺骨突き上げ症候群といって、尺骨が橈骨よりも長いためにTFCCに過剰な負担がかかり、損傷を引き起こしている場合に適応となります。尺骨を短縮することで、TFCCへの負担を軽減し、痛みを改善することができます。しかし、尺骨短縮術は、他の手術に比べて侵襲が大きく、骨折などの合併症のリスクも高いため、慎重に適応を判断する必要があります。
当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。