保存療法
保存療法は、薬物療法と生活習慣の改善を中心に行われます。基本的に痛風の治療は「痛風発作に対する治療」と「高尿酸血症の改善による治療」の2つのステップを通じて行われます。
薬物療法
痛風発作の治療薬
痛風発作が起こった時は、まず痛みや炎症を抑える薬を使います。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
- 痛みや炎症を抑える効果があります。
- コルヒチン
- 白血球の働きを抑え、炎症を鎮めます。
- ステロイド薬
- 強い抗炎症作用があります。
患者さんの状態や基礎疾患、重症度などに応じて使い分けたり、組み合わせて治療します。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(炎症の原因となる物質:プロスタグランジン類)
高尿酸血症の治療薬
痛風発作が治まったら、尿酸値を下げる薬を使います。
尿酸はプリン体から作られ体外に排泄されます。その働きを手伝う尿酸降下薬は作用の違いで尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬に分かれます。前者は腎臓に作用し尿酸が尿中へ排泄される働きを促進します。後者は主に肝臓でプリン体が尿酸に分解されるのを抑えます。
- 尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロン・プロベネシドなど)
- 尿から尿酸を排泄しやすくすることで血液中の尿酸値を下げます。
- 尿酸産生抑制薬(アロプリノール・フェブキソスタット・トピロキソスタット)
- 尿酸を体に作る経路を抑えることで、血液中の尿酸値を下げます。
尿酸値を改善する薬をしばらく内服することで痛風発作は予防されます。その間に生活習慣を治していただくことで、お薬をなくすことができます。
生活習慣の改善
食生活改善
プリン体の多い食品を控え、バランスの取れた食事を心がけます。(プリン体が多い食品: レバー、白子、あんこうの肝、干物、エビ、カニ、イクラ、たらこ、カツオ、サバ、イワシなど)(プリン体が少ない食品: 野菜、果物、海藻、乳製品、卵など)
水分摂取
尿酸の排泄を促すために、1日2リットル以上の水を飲みましょう。
適度な運動
適度な運動は、肥満の解消やストレス軽減に役立ちます。ただし、激しい運動は尿酸値を上げる可能性があるので避けましょう。ベンチプレスなどの激しい運動(無酸素運動)は肥満解消法として勧められません。新陳代謝が活発となり、尿酸値が急上昇するためです。ウォーキングなどの軽い運動(有酸素運動)を定期的に行いましょう。
アルコール制限
アルコールは尿酸値を上げるだけでなく、尿酸の排泄を妨げるため、控えましょう。
体重管理
肥満は高尿酸血症のリスクを高めるため、適正体重を維持しましょう。
ストレス軽減
ストレスは尿酸値を上げる可能性があるので、ストレスをためないようにしましょう。
手術療法
痛風結節が大きく、日常生活に支障をきたす場合や、関節の変形が進んで痛みや機能障害が強い場合は、手術療法が検討されます。
痛風結節摘出術
皮膚を切開し、痛風結節を摘出する手術です。
関節形成術
痛風によって破壊された関節を人工関節に置き換える手術です。
痛風の治療は、長期にわたることが多いです。医師の指示に従って薬物療法を続け、生活習慣を改善することで、痛風発作の予防と合併症の発生を抑えることができます。当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。