変形性膝関節症
変形性膝関節症の症状
変形性膝関節症(=膝Osteoarthritis、膝OA)は、膝関節の軟骨が摩耗し、関節に炎症や痛みが生じる病気です。特に中高年の方に多く見られますが、若年層でも過度なスポーツや外傷、肥満などが原因で発症することがあります。
変形性膝関節症の初期症状には、膝の違和感や軽度の痛みがあります。進行すると以下のような症状が現れることがあります。
- 膝の痛みや違和感が数週間以上続く
- 階段の上り下りが困難
- 膝が腫れている
- 膝に異常な音がする
- 膝の動きに制限がある
日常生活においてこれらの症状が顕著になると、歩行や立ち座りが困難になることがあります。
早期発見と治療が重要です。初期段階で適切な対応をすることで、
進行を防ぎ、生活の質を保つことができます。
治療方法
変形性膝関節症の治療は、症状の進行度や患者さんの生活スタイルに応じて多岐にわたります。主な治療法を以下に紹介します。
保存療法
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
関節の可動域を広げ、筋力を強化するリハビリテーションです。特に大腿四頭筋の強化が膝の安定性を高めます。膝周りの筋肉を鍛えることで、関節への負担を軽減し、痛みを緩和する効果があります。
当院では、患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。研究に基づいたアプローチと、理学療法士の専門知識を活かし、最適な治療を提供いたします。膝の痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
薬物療法
痛みを和らげる鎮痛薬(アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs))や、炎症を抑える薬が処方されます。場合によっては、病状をコントロールするために長期的な薬物療法が必要になることもあります。
サポート用品
膝の負担を軽減するためのサポーターやインソールの使用が推奨されます。これにより、日常生活での膝への衝撃を和らげることができます。
ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸は関節液の成分であり、関節の滑らかさを保ち、摩擦を軽減します。関節内にヒアルロン酸を注入することで、潤滑作用を高め、痛みを軽減します。
ステロイド注射
強力な抗炎症作用を持つステロイドを注入し、急性の炎症と痛みを抑えます。特に炎症が強い場合に効果的です。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(プロスタグランジン類:炎症の原因となる物質。
※ヒアルロン酸注射:体の中にもともと存在するヒアルロン酸と同じ成分の製薬を使用した治療です。粘り気や弾力性を持ったヒアルロン酸を関節へ注入することで、痛みの緩和や関節の滑りが良くなるといった効果が期待できます。
※ステロイド:副腎皮質ホルモンの一種で、細胞膜を通過して細胞の持つ免疫作用を調整します。それにより、腫れや痛みを抑えることができます。
手術療法
保存療法や注射療法が効果を示さない場合、手術をお勧めします。保存療法や注射療法が効果を示さない場合、手術をお勧めします。当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
関節鏡視下手術
小さな切開を通じて関節内部を観察し、損傷した軟骨や炎症を取り除く手術です。比較的軽度の症例で行われることが多く、回復も早いです。
高位脛骨骨切り術
膝の変形を矯正し、負担のかかる部分を変える手術です。膝の内側や外側に偏った負担を軽減することで、痛みを和らげます。
人工膝関節置換術
痛みが強く、日常生活に大きな支障がある場合、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。この手術により、痛みが劇的に軽減し、関節の機能が回復します。人工関節は耐久性も高く、多くの患者さんが術後の生活の質を大きく向上させています。
早期の診断と治療の重要性
変形性膝関節症は、早期に診断し適切な治療を行うことで、その進行を抑え、生活の質を向上させることができます。
膝の痛みや違和感がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
当クリニックでは、変形性膝関節症の診断と治療に専門的な知識と経験を持つ医師が対応しております。
足底腱膜炎
足底腱膜炎の症状
足底腱膜炎は、足の裏にある足底腱膜という組織に炎症が生じ、痛みを引き起こす疾患です。この疾患は、特にかかとや足の裏の痛みとして感じられることが多く、長時間立っているときや歩き始める際に強い痛みを伴います。特にランニングやジャンプなどの負担がかかる運動をする方や、長時間立ち仕事をしている方に多く見られます。
原因
原因としては、足底腱膜に過度な負担がかかることが挙げられます。以下に主な要因を紹介します。
運動過多
ランニングやジャンプなどの激しい運動により、足底腱膜に繰り返し負担がかかります。
肥満
体重が増えることで足底腱膜にかかる負荷が増大します。
不適切な靴
クッション性の低い靴やサポートのない靴を履いていると、足底腱膜に負担がかかります。
足の形状
偏平足やアーチが高すぎる足は、足底腱膜にストレスを与えやすいです。
※足底腱膜(そくていけんまく):かかとの骨から足の指の付け根にかけて、膜のように広がっている腱
治療方法
足底腱膜炎の治療は、多岐にわたります。早期に適切な治療を行うことで、痛みを軽減し、再発を防ぐことが可能です。以下に主な治療法を紹介します。
保存療法
保存療法は、手術を伴わない治療法で以下の方法があります。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
理学療法士の指導の下で行うリハビリは、足底腱膜炎の治療に効果的です。特にエクササイズやマッサージ、超音波療法などが行われます。当院では、患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。研究に基づいたアプローチと、理学療法士の専門知識を活かし、最適な治療を提供いたします。足の痛みでお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
テーピング
足底腱膜をサポートするためのテーピングを行うことで、痛みを軽減し、治癒を促進します。
アイシング
炎症を抑えるために、痛みのある部位をアイスパックで冷やします。1回15〜20分程度を目安に行いましょう。
サポートインソール
足底腱膜をサポートするためのインソールを使用します。アーチを支えることで、痛みを軽減します。
鎮痛薬
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用することで、痛みと炎症を軽減します。市販薬でも効果がある場合がありますが、長期間使用する際には医師に相談しましょう。
ステロイド注射
強い痛みが続く場合には、ステロイド注射が行われることがあります。即効性があり、炎症を効果的に抑えます。
※ステロイド:副腎皮質ホルモンの一種で、細胞膜を通過して細胞の持つ免疫作用を調整します。それにより、腫れや痛みを抑えることができます。
手術療法
保存療法や注射療法が効果を示さない場合、手術をお勧めします。当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
足底腱膜の部分的切除
炎症を起こしている部分の足底腱膜を切除し、緊張を緩和する方法です。
内視鏡的足底腱膜切開術
内視鏡を使用して小さな切開から手術を行う方法で、回復が早いのが特徴です。
神経剥離術
神経が圧迫されている場合、その圧迫を解放するための手術です。
日常生活での注意点
適切な靴選び
クッション性があり、アーチをサポートする靴を選びましょう。長時間歩く場合や運動をするときには、適切な靴を履くことが重要です。
体重管理
適切な体重を維持することで、足底腱膜にかかる負担を減らします。バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。
定期的なストレッチ
足底腱膜やふくらはぎの筋肉を柔軟に保つために、日常的にストレッチを行いましょう。特に運動前後には十分にストレッチを行うことが大切です。
休息の取り方
長時間の立ち仕事や運動の後には、足を休める時間を確保しましょう。適度な休息が回復を促進します。
早期の診断と治療の重要性
足底腱膜炎は、早期の治療と予防策を講じることで、痛みを和らげ、再発を防ぐことができます。
足の違和感や痛みを感じたら、早めに当クリニックにご相談ください。
専門の医師があなたの症状に合わせた最適な治療法を提案し、快適な日常生活を取り戻すお手伝いをいたします。
捻挫(足関節捻挫)
捻挫(足関節捻挫)とは
足関節捻挫は、足首の靭帯が過度に伸ばされたり、部分的にまたは完全に損傷することで発生する一般的な怪我です。足首の靭帯は、骨同士を結びつけて足関節を安定させる役割を果たしていますが、捻挫によってこの機能が損なわれ、痛みや腫れが生じます。捻挫は日常的な転倒やスポーツ活動中に起こりやすく、年齢や性別を問わず誰にでも発生する可能性があります。
足関節捻挫の主な症状には以下のようなものがあります。
- 足首の痛み
- 腫れ
- 内出血
- 可動域の制限
- 不安定感
捻挫直後に足首周辺に鋭い痛みが発生します。痛みの程度は軽度から重度まで様々で、痛みを感じる部分は足首の内側または外側に集中することが多いです。
靭帯が損傷すると、その周辺組織が炎症を起こし、腫れが発生します。これは数時間から数日かけて徐々に進行することが多く、重度の捻挫では足首全体が腫れ上がることもあります。
靭帯の損傷に伴って血管が切れ、内出血が生じることがあります。その結果、足首周辺が青紫色に変色することもあります。
痛みや腫れによって足首の動きが制限され、歩行が困難になることがあります。
足を着地した際に足首がぐらぐらと不安定に感じることがあり、これは靭帯の損傷による足関節の支持機能の低下を示しています。
原因
足関節捻挫は、以下のような要因によって発生します。
急な方向転換や急停止
スポーツ活動中に急に方向を変えたり止まったりする際に、足首に強い負担がかかり、捻挫を引き起こすことがあります。特にバスケットボールやサッカーなどの接触スポーツではリスクが高いです。
転倒や足をひねる動作
日常生活で足をひねって転倒することも捻挫の原因になります。例えば、階段で足を滑らせたり、不安定な地面を歩いている際に足首を捻ってしまうことがあります。
不適切な靴
靴が足首をしっかりサポートしていない場合、特にかかとの高い靴やフィット感の悪い靴を履いていると、捻挫を起こすリスクが高まります。
過去の捻挫
一度捻挫をした足首は、靭帯が完全に回復していない場合や、強度が低下しているため再発しやすくなります。
診断
足関節捻挫の診断は、問診、触診、および画像診断によって行われます。医師は捻挫の程度や治療方針を決定するためにこれらの診察を総合的に行います。損傷の程度を3段階に分けると、治療や運動器リハビリテーションの決定に有用です。
- 1度
- 靱帯の微細損傷や軽度の圧痛があるが、いわゆるちょっとひねった程度であるため、当日もしくは2〜3日で競技復帰が可能な状態。歩行や軽い走行も可能。
- 2度
- 靱帯の部分断裂で圧痛、腫脹が強く、歩けるが走れない。競技復帰まで2〜3週間かかる。装具やテーピング、副木固定が必要です。念のために医療機関でチェックを受けてください。
- 3度
- 完全な靱帯断裂で圧痛、腫脹、熱感、皮下出血が強く、自分で歩くのがやっとです。競技復帰まで1〜2ヵ月を要します。医療機関での治療(ギプスや装具による強固な固定、もしくは断裂靭帯の縫合手術)が必要です。
問診・触診
まず医師は、捻挫が発生した状況や患者の既往歴について詳しく質問します。たとえば、いつどのように捻挫が発生したか、どの程度の痛みがあるか、過去に足首の怪我をしたことがあるかなどが問診の内容です。
その後、医師は患部を触診し、腫れや痛みの部位を確認します。触診によって靭帯の損傷がどの程度あるか、足首の不安定感があるかを判断します。また、可動域の確認を行い、足首がどれだけ動くか、どの動きで痛みが増すかも診断の手がかりとなります。
画像診断
問診と触診の結果に基づき、さらなる詳細な診断のためにX線検査やMRIなどの画像診断が行われることがあります。
- X線検査
- 骨折の有無を確認するために最も一般的に行われる検査です。捻挫の場合、骨折が伴わないことが多いですが、特に外傷が大きい場合や、痛みが強い場合は骨の損傷を確認するためにX線が必要になります。
- MRI
- 靭帯や腱、軟部組織の損傷をより詳しく調べるために行われます。捻挫が重度で、靭帯の完全断裂や軟骨の損傷が疑われる場合、MRIが必要になることがあります。
当院では、MRIは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。
治療方法
足関節捻挫の治療は、症状の重さや原因によって異なります。治療は大きく保存療法と手術療法に分かれますが、多くの場合はまず保存療法が選択されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
保存療法には、以下のような方法があります。
RICE法
安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の4つの基本的な処置法です。
- 安静
- 患部を動かさないようにし、損傷の進行を防ぎます。特に初期の段階では、足首に過度の負担をかけないようにすることが重要です。
- 冷却(アイシング)
- 腫れと痛みを抑えるために、捻挫後すぐに氷や冷却パックを使って患部を冷やします。20分程度の冷却を1日数回行うことで炎症が軽減します。
- 圧迫
- 包帯やサポーターで足首を圧迫し、腫れを抑えるとともに、患部を安定させます。
- 挙上
- 足を心臓より高い位置に上げることで血流を促進し、腫れを抑えることができます。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、患者様一人ひとりの症状に応じたプランを提供します。足関節捻挫は、炎症症状が強い急性期と回復期において、リハビリの取り組み内容が異なります。具体的なリハビリ内容には以下のようなものがあります。
- 急性期
- 急性期でのリハビリは、炎症や腫れを抑え、痛みを軽減させることが重要です。主な対処法としては、上記でご説明したRICE法です。痛みがある場合は患部に負担をかけずに、痛みがある場合は極力動かさないようにしましょう。通常の歩行も痛みが治まるまでは控え、必要に応じて松葉杖を使用することもあります。
また、荷重が行えない急性期でも、症状に合わせて、患部外トレーニングとして股関節周囲の筋力強化や太ももの筋肉の筋力強化・ストレッチ、足趾の運動などを行います。捻挫後の代表的な後遺症としては、お尻の筋力低下(中殿筋)やバランス能力の低下があります。中殿筋は骨盤を支える重要な筋肉であり、その機能が低下すると、骨盤の歪みや腰痛の原因となります。足趾の運動としては、タオルギャザーによる足趾の柔軟性改善や足趾のストレッチが挙げられます。患部外トレーニングにより、身体機能を維持して、患部の回復に合わせながら早期復帰が期待できます。 - 回復期
- この時期では炎症期に生じた足関節の可動域制限、筋力低下、機能不全、バランス能力の低下などの足関節機能の改善を図ることが重要です。捻挫を受傷した方の多くが痛みは消失しているからと、この段階で足関節の機能不全を残したままにしてしまっています。この機能不全により繰り返しの捻挫を受傷したり、慢性足関節不安定症に移行したりするため適切なリハビリテーションが必要です。適切な指導のもとで段階的に負荷を増やしていくことが、長期的な回復において重要です。
当院では、個々の患者様に合わせた治療計画を提供しています。痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院のリハビリプログラムをご相談ください。
※慢性足関節不安定症:足関節捻挫後の治療が不十分であった結果、靭帯が弛緩し、足関節に慢性的な不安定性(ぐらつき)がある状態です。 慢性足関節不安定症は、繰り返す捻挫や歩行時の足首周囲の不安感の原因となります。
薬の服用などで症状を軽減する方法(薬物療法)
痛みや腫れが強い場合は、鎮痛薬や抗炎症薬が処方されることがあります。これらの薬物療法は症状を一時的に和らげ、治療をスムーズに進めるための補助的な手段として使用されます。
手術療法
保存療法が効果を示さない場合や、靭帯の完全断裂が確認された場合には、手術療法が検討されます。靭帯を再建する手術や、関節の修復を行うことで、足関節の機能を回復させます。
スポーツにおける
捻挫の予防方法!
足関節捻挫を予防するためには、以下の点に気を付けることが重要です。
ウォーミングアップとストレッチ
運動前にウォーミングアップや動的ストレッチを行い、筋肉や関節を柔軟にしておくことが重要です。運動後のクールダウンとストレッチも捻挫予防に効果的です。
適切なシューズとサポーター
スポーツに適したシューズを選び、足首や関節をサポートすることが大切です。過去に捻挫をしたことがある場合は、テーピングやサポーターを使用することで予防効果が高まります。
筋力・バランストレーニング
足首周りの筋力を強化し、バランス感覚を向上させるトレーニングを行うことで、関節の安定性を高め、捻挫のリスクを減らします。
正しい動作と無理のない運動
正しいフォームで運動を行い、無理な動作や急な方向転換を避けることで、足首や膝への負担を減らし、捻挫を予防します。疲労時は特に注意し、適切な休息も重要です。
早期の診断と治療の重要性
足関節捻挫は、早期に診断し適切な治療を行うことで、症状の悪化を防ぎ、慢性疼痛を避けることができます。
痛みや違和感を感じた場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
当クリニックでは、専門的な知識と経験を持つ医師が診断・治療を担当し、皆様の健康をサポートします。
あなたの健康と快適な生活のために、ぜひ一度ご相談ください。
腓腹筋断裂(肉離れ)
腓腹筋断裂(肉離れ)とは
腓腹筋断裂、いわゆるふくらはぎの肉離れは、腓腹筋(ふくらはぎの主要な筋肉)が過度に引き伸ばされたり、強い力で収縮した結果、筋繊維が損傷する状態です。腓腹筋は、ふくらはぎの上部からかかとにかけて広がる大きな筋肉で、歩行やランニング、ジャンプなど多くの動作に関与しています。腓腹筋断裂は、スポーツや激しい運動中に発生することが多く、特にスプリンターやジャンパー、サッカー選手などに多く見られます。軽度から重度まで症状の範囲はさまざまで、適切な治療が必要です。
腓腹筋断裂の症状は、損傷の程度によって異なりますが、以下のようなものが一般的です。
- 急激な痛み
- 腫れと内出血
- 筋力低下
- 可動域の制限
筋肉が損傷した瞬間、ふくらはぎに鋭い痛みが走ることが多いです。痛みは通常、即座に現れ、歩行や立ち上がることが困難になります。
筋繊維が損傷した部位に炎症が起こり、ふくらはぎが腫れます。損傷の程度が重い場合、内出血が起こり、皮膚が青黒くなることもあります。
損傷した腓腹筋は弱体化し、ふくらはぎを使った動作が著しく制限されます。特に、つま先立ちができなくなったり、ふくらはぎに力を入れることが難しくなることがあります。
腓腹筋が損傷すると、足首を曲げたり伸ばしたりすることが困難になります。これにより、歩行や走行が制限され、動作に不自由を感じるようになります。
原因
腓腹筋断裂の原因は、通常、筋肉が過度に引き伸ばされたり、急激に強く収縮した場合です。
特に、以下のような動作で腓腹筋に過度の負担がかかり、肉離れを引き起こすことが多いです。
激しいスポーツや運動
短距離走、サッカー、バスケットボールなどのスポーツでは、急激なストップやジャンプが多く、それに伴い腓腹筋に大きな負担がかかります。
準備運動不足
運動前に十分なウォームアップをしないことで、筋肉が柔軟性を欠き、急な動作に対応できなくなります。これにより、筋繊維が損傷しやすくなります。
筋肉の疲労
長時間の運動や過度の練習により筋肉が疲労すると、筋肉の収縮力が低下し、損傷を引き起こすリスクが高まります。
診断
腓腹筋断裂の診断は、問診、触診、画像診断を組み合わせて行われます。
問診・触診
まず、医師は患者に腓腹筋断裂が起こった状況や痛みの程度について問診を行います。発症の瞬間の感覚や、どの動作が痛みを引き起こすかが重要です。触診では、腓腹筋の損傷部位を触り、腫れや痛み、筋肉の断裂感を確認します。
画像診断
より詳細な診断が必要な場合は、超音波検査やMRI(磁気共鳴画像)が用いられます。これにより、筋肉の断裂の有無や、損傷の範囲を確認します。特にMRIは、筋繊維の断裂や腫れの程度をより正確に把握するために有効です。当院では、MRIは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。
治療方法
腓腹筋断裂の治療は、損傷の程度によって異なります。基本的に保存療法と手術療法の2つに大別されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
軽度から中等度の腓腹筋断裂では、保存療法が一般的に推奨されます。
RICE法
安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の4つの基本的な処置法です。損傷直後に適用することで、腫れや痛みを抑えます。特に、最初の48時間は氷やシップなどで患部を冷やしながら包帯などで圧迫固定することが推奨されます。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)は、腓腹筋断裂後のリハビリテーションを担当しています。筋力トレーニングやストレッチを通じて、ふくらはぎの筋肉を強化し、関節の可動域を改善することを目指します。また、正しい姿勢や動作を学ぶことで、再発防止も支援します。たとえば、ふくらはぎの筋力を回復させるために、段階的な筋力トレーニングを行い、柔軟性を取り戻すためのストレッチを行います。患者様一人ひとりの状態やニーズに合わせたリハビリプランを作成し、効果的な治療を提供します。
薬物療法
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を用いて痛みや腫れを軽減することが一般的です。これにより、リハビリがスムーズに進行し、日常生活の快適さが向上します。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(炎症の原因となる物質:プロスタグランジン類)
手術療法
重度の腓腹筋断裂や完全断裂が確認された場合、手術が必要になることがあります。手術では、断裂した筋繊維を縫合し、筋肉の機能を回復させます。手術後は、保存療法と同様にリハビリを行い、筋力を取り戻すためのリハビリテーションが行われます。当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
特に多い学生スポーツにおける腓腹筋断裂(肉離れ)の
予防方法!
腓腹筋断裂を予防するためには、日常生活や運動中にいくつかのポイントに注意することが大切です。
ウォームアップとクールダウンの徹底
運運動前に筋肉を柔軟にし、体を温めて怪我のリスクを減らすために非常に重要です。ウォームアップを十分に行うことで、筋肉の血流が増加し、腓腹筋の柔軟性が向上します。また、運動後のクールダウンも筋肉の柔軟性を保つために重要です。
定期的なストレッチ
日常的にふくらはぎを中心としたストレッチを行い、筋肉を柔軟に保つことで、腓腹筋の断裂リスクを減少させます。
筋力トレーニングによる筋肉強化
ふくらはぎの筋力を高めるために、定期的なトレーニングを行うことが効果的です。強い筋肉は、急激な負荷にも耐えることができ、損傷のリスクを軽減します。
体のケアと栄養補給
適切な栄養を取ることで、筋肉の修復や成長をサポートし、怪我のリスクを減らすことができます。特に成長期の学生アスリートは、筋肉や骨の成長に必要な栄養素をバランスよく摂取することが重要です。
早期の診断と治療の重要性
腓腹筋断裂(肉離れ)は、早期に適切な治療を行うことで、回復を早め、再発を防ぐことができます。
痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
当クリニックでは、腓腹筋断裂の診断と治療に専門的な知識と経験を持つ医師と理学療法士が対応いたします。
あなたの健康と快適な生活をサポートいたしますので、腓腹筋断裂に関するお悩みがあれば、ぜひ当院にご相談ください。