捻挫(足関節捻挫)とは
足関節捻挫は、足首の靭帯が過度に伸ばされたり、部分的にまたは完全に損傷することで発生する一般的な怪我です。足首の靭帯は、骨同士を結びつけて足関節を安定させる役割を果たしていますが、捻挫によってこの機能が損なわれ、痛みや腫れが生じます。捻挫は日常的な転倒やスポーツ活動中に起こりやすく、年齢や性別を問わず誰にでも発生する可能性があります。
足関節捻挫の主な症状には以下のようなものがあります。
- 足首の痛み
- 腫れ
- 内出血
- 可動域の制限
- 不安定感
捻挫直後に足首周辺に鋭い痛みが発生します。痛みの程度は軽度から重度まで様々で、痛みを感じる部分は足首の内側または外側に集中することが多いです。
靭帯が損傷すると、その周辺組織が炎症を起こし、腫れが発生します。これは数時間から数日かけて徐々に進行することが多く、重度の捻挫では足首全体が腫れ上がることもあります。
靭帯の損傷に伴って血管が切れ、内出血が生じることがあります。その結果、足首周辺が青紫色に変色することもあります。
痛みや腫れによって足首の動きが制限され、歩行が困難になることがあります。
足を着地した際に足首がぐらぐらと不安定に感じることがあり、これは靭帯の損傷による足関節の支持機能の低下を示しています。
原因
足関節捻挫は、以下のような要因によって発生します。
急な方向転換や急停止
スポーツ活動中に急に方向を変えたり止まったりする際に、足首に強い負担がかかり、捻挫を引き起こすことがあります。特にバスケットボールやサッカーなどの接触スポーツではリスクが高いです。
転倒や足をひねる動作
日常生活で足をひねって転倒することも捻挫の原因になります。例えば、階段で足を滑らせたり、不安定な地面を歩いている際に足首を捻ってしまうことがあります。
不適切な靴
靴が足首をしっかりサポートしていない場合、特にかかとの高い靴やフィット感の悪い靴を履いていると、捻挫を起こすリスクが高まります。
過去の捻挫
一度捻挫をした足首は、靭帯が完全に回復していない場合や、強度が低下しているため再発しやすくなります。
診断
足関節捻挫の診断は、問診、触診、および画像診断によって行われます。医師は捻挫の程度や治療方針を決定するためにこれらの診察を総合的に行います。損傷の程度を3段階に分けると、治療や運動器リハビリテーションの決定に有用です。
- 1度
- 靱帯の微細損傷や軽度の圧痛があるが、いわゆるちょっとひねった程度であるため、当日もしくは2〜3日で競技復帰が可能な状態。歩行や軽い走行も可能。
- 2度
- 靱帯の部分断裂で圧痛、腫脹が強く、歩けるが走れない。競技復帰まで2〜3週間かかる。装具やテーピング、副木固定が必要です。念のために医療機関でチェックを受けてください。
- 3度
- 完全な靱帯断裂で圧痛、腫脹、熱感、皮下出血が強く、自分で歩くのがやっとです。競技復帰まで1〜2ヵ月を要します。医療機関での治療(ギプスや装具による強固な固定、もしくは断裂靭帯の縫合手術)が必要です。
問診・触診
まず医師は、捻挫が発生した状況や患者の既往歴について詳しく質問します。たとえば、いつどのように捻挫が発生したか、どの程度の痛みがあるか、過去に足首の怪我をしたことがあるかなどが問診の内容です。
その後、医師は患部を触診し、腫れや痛みの部位を確認します。触診によって靭帯の損傷がどの程度あるか、足首の不安定感があるかを判断します。また、可動域の確認を行い、足首がどれだけ動くか、どの動きで痛みが増すかも診断の手がかりとなります。
画像診断
問診と触診の結果に基づき、さらなる詳細な診断のためにX線検査やMRIなどの画像診断が行われることがあります。
- X線検査
- 骨折の有無を確認するために最も一般的に行われる検査です。捻挫の場合、骨折が伴わないことが多いですが、特に外傷が大きい場合や、痛みが強い場合は骨の損傷を確認するためにX線が必要になります。
- MRI
- 靭帯や腱、軟部組織の損傷をより詳しく調べるために行われます。捻挫が重度で、靭帯の完全断裂や軟骨の損傷が疑われる場合、MRIが必要になることがあります。
当院では、MRIは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。