足関節捻挫の治療は、症状の重さや原因によって異なります。治療は大きく保存療法と手術療法に分かれますが、多くの場合はまず保存療法が選択されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
保存療法には、以下のような方法があります。
RICE法
安静(Rest)、冷却(Ice)、圧迫(Compression)、挙上(Elevation)の4つの基本的な処置法です。
- 安静
- 患部を動かさないようにし、損傷の進行を防ぎます。特に初期の段階では、足首に過度の負担をかけないようにすることが重要です。
- 冷却(アイシング)
- 腫れと痛みを抑えるために、捻挫後すぐに氷や冷却パックを使って患部を冷やします。20分程度の冷却を1日数回行うことで炎症が軽減します。
- 圧迫
- 包帯やサポーターで足首を圧迫し、腫れを抑えるとともに、患部を安定させます。
- 挙上
- 足を心臓より高い位置に上げることで血流を促進し、腫れを抑えることができます。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、患者様一人ひとりの症状に応じたプランを提供します。足関節捻挫は、炎症症状が強い急性期と回復期において、リハビリの取り組み内容が異なります。具体的なリハビリ内容には以下のようなものがあります。
- 急性期
- 急性期でのリハビリは、炎症や腫れを抑え、痛みを軽減させることが重要です。主な対処法としては、上記でご説明したRICE法です。痛みがある場合は患部に負担をかけずに、痛みがある場合は極力動かさないようにしましょう。通常の歩行も痛みが治まるまでは控え、必要に応じて松葉杖を使用することもあります。
また、荷重が行えない急性期でも、症状に合わせて、患部外トレーニングとして股関節周囲の筋力強化や太ももの筋肉の筋力強化・ストレッチ、足趾の運動などを行います。捻挫後の代表的な後遺症としては、お尻の筋力低下(中殿筋)やバランス能力の低下があります。中殿筋は骨盤を支える重要な筋肉であり、その機能が低下すると、骨盤の歪みや腰痛の原因となります。足趾の運動としては、タオルギャザーによる足趾の柔軟性改善や足趾のストレッチが挙げられます。患部外トレーニングにより、身体機能を維持して、患部の回復に合わせながら早期復帰が期待できます。 - 回復期
- この時期では炎症期に生じた足関節の可動域制限、筋力低下、機能不全、バランス能力の低下などの足関節機能の改善を図ることが重要です。捻挫を受傷した方の多くが痛みは消失しているからと、この段階で足関節の機能不全を残したままにしてしまっています。この機能不全により繰り返しの捻挫を受傷したり、慢性足関節不安定症に移行したりするため適切なリハビリテーションが必要です。適切な指導のもとで段階的に負荷を増やしていくことが、長期的な回復において重要です。
当院では、個々の患者様に合わせた治療計画を提供しています。痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院のリハビリプログラムをご相談ください。
※慢性足関節不安定症:足関節捻挫後の治療が不十分であった結果、靭帯が弛緩し、足関節に慢性的な不安定性(ぐらつき)がある状態です。 慢性足関節不安定症は、繰り返す捻挫や歩行時の足首周囲の不安感の原因となります。
薬の服用などで症状を軽減する方法(薬物療法)
痛みや腫れが強い場合は、鎮痛薬や抗炎症薬が処方されることがあります。これらの薬物療法は症状を一時的に和らげ、治療をスムーズに進めるための補助的な手段として使用されます。
手術療法
保存療法が効果を示さない場合や、靭帯の完全断裂が確認された場合には、手術療法が検討されます。靭帯を再建する手術や、関節の修復を行うことで、足関節の機能を回復させます。