頚椎症の治療法は、症状の程度や原因によって異なります。大きく分けて、保存療法と手術療法があります。
保存療法
薬物療法
多くの場合、痛み止めとしてまず「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)」が主に用いられます。また、しびれを伴う痛みや発作的に生じる鋭い痛み(電撃痛といいます)などの神経の痛みに対しては「神経障害性疼痛治療薬」、筋肉の緊張をやわらげ症状を軽くする目的で「筋緊張弛緩剤」なども用いられます。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(炎症の原因となる物質:プロスタグランジン類)
※神経障害性疼痛治療薬
神経の痛みに使用される薬です。私たちの体では、神経が傷つくと、通常よりも多くの痛みを伝える物質が出てしまい、それが激しい痛みにつながります。神経障害性疼痛治療薬はこの物質の放出を抑えることで、痛みを軽減する効果があります。
※筋緊張弛緩剤
脳から筋肉への筋肉緊張の伝達を抑え筋弛緩作用を及ぼし、痛みやしびれ感などを緩和する
理学療法士による運動療法(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、筋力トレーニングやストレッチを行います。首の動きを改善し、筋力を高め、機能を回復させます。また、日常生活での動作指導を行い、再発防止のために正しい姿勢や動作を習得するお手伝いをします。理学療法士の専門知識を活かし、患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。痛み箇所の痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
装具療法
局所の安静を保ち、痛みの軽減が期待できる治療法です。「関節の保持」「変形の矯正・予防」「機能の代行」などを目的に、頚椎カラ―などの装具を使用します。
頸椎牽引
主に顎のあたりにベルトを掛け、体重のおよそ10分の1の重さで引っ張り、頚椎にかかる圧力を軽減し、痛みや神経根障害を軽減させます。
手術療法
保存療法で効果が得られない場合や、神経症状が進行している場合は、手術療法が検討されます。
- 前方固定術
- 頚椎の前面から椎間板を切除し、骨を移植して固定する方法です。
- 後方椎弓形成術
- 頚椎の後ろ側から骨棘を切除し、脊髄の通り道を広げる方法です。
当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。