ジャンパー膝(ランナー膝)
ジャンパー膝(ランナー膝)とは
ジャンパー膝(ランナー膝)は、膝に繰り返し負荷がかかることによって発症するスポーツ障害です。主にバスケットボール、バレーボール、ランニングなどジャンプやランニングを頻繁に行うスポーツ選手に見られます。年齢的には10代の選手に多く、特に男性に多く発生します。この状態は、膝蓋腱(膝のお皿とすねの骨をつなぐ腱)が過度に使用されることで炎症や痛みが生じるものです。
ジャンパー膝の主な症状は、膝蓋腱付近の痛みです。
痛みは運動中や運動後に悪化し、特に膝を曲げたときに感じられることが多いです。
最初の段階では、軽い痛みや違和感が運動後に一時的に現れるだけかもしれませんが、
放置すると症状は悪化し、痛みが持続的になり、日常生活にも支障をきたすことがあります。
進行した場合には、腱の損傷や断裂のリスクも高まります。
ジャンパー膝の主な原因は、膝蓋腱にかかる過度な負荷です。
特にジャンプやランニングによって膝蓋腱が繰り返し引っ張られると、炎症が生じます。
以下のような要因がジャンパー膝の発症リスクを高めます。
- 繰り返しジャンプやランニングをするスポーツ
- 急な運動量の増加
- 柔軟性の低下
- 筋力の不均衡(特に太ももやふくらはぎの筋肉)
- 不適切なトレーニング方法やフォーム
診断
ジャンパー膝の診断には、問診、触診、そして画像診断が行われます。
問診・触診
最初に行われるのは問診です。医師は患者の痛みの場所や運動習慣、発症時期などを詳しく聞き取ります。次に、触診を行い、膝蓋腱に圧痛があるかどうかを確認します。触診によって、炎症や腱の異常を直接確認することができ、痛みの程度や場所を特定します。
画像診断
触診や問診だけでは診断が難しい場合、画像診断が行われることがあります。X線やMRI(磁気共鳴画像診断装置)を使用して、腱の状態や周囲の軟部組織の異常を詳細に確認します。特に、長期間放置された場合や腱に損傷が見られる場合は、画像診断が重要です。
当院では、MRI・CTは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。
パテラコンプレッションテイスト(Patellar Compression Test)
パテラ(膝蓋骨)または周囲の組織に痛みや不快感があるかを調べるための臨床試験です。 このテストは、パテラ関連の痛みの原因を評価するために使用され、パテラ腱炎、ジャンパー膝(ランナー膝)、パテラ・フェムラル・ペイン・シンドロームなど、さまざまな症状の診断に役立つことがあります。
テスト手順
- 患者は仰向けになり、評価する膝は伸ばされます(つまり、伸展状態)。
- 検査者は患者さんのパテラに圧力をかけます。通常、これは直接パテラを押すことで行われます。
- 患者さんがこの圧力に反応して痛みを感じたり、不快感を表現したりする場合、これはパテラまたは周囲の組織に問題がある可能性を示しています。
治療方法
ジャンパー膝の治療は、症状の重さや原因に応じて異なります。
大きく分けて保存療法と手術療法の2つに分類されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
軽度から中等度のジャンパー膝の場合、多くは保存療法で治療が可能です。保存療法では、膝の安静、リハビリ、そして薬物療法などが中心となります。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、個別のリハビリプランを作成し、症状に応じた筋力トレーニングやストレッチを行います。具体的には、大腿四頭筋やハムストリング、ふくらはぎの筋力を高めることが重要です。これにより、膝にかかる負荷を軽減し、膝蓋腱の機能を回復させます。また、運動時のフォームの改善や日常生活での正しい動作指導も行い、再発防止をサポートします。
リハビリは、患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせて提供され、筋力トレーニングだけでなく、柔軟性の向上や関節の可動域を広げるためのストレッチも重要です。理学療法士は、研究に基づいたアプローチを用い、症状回復と再発防止を目指してリハビリを行います。
薬物療法
保存療法の一環として、痛みを和らげるために非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが処方されることがあります。これにより炎症や痛みを抑えることができ、リハビリテーションや日常生活の活動を円滑に進めることが可能です。ただし、薬物療法は根本的な治療ではなく、一時的な症状軽減を目的として使用されるため、併用して運動療法を行うことが重要です。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(炎症の原因となる物質:プロスタグランジン類)
手術療法
保存療法で改善しない場合や、腱に大きな損傷が見られる場合には、手術療法が選択されることがあります。手術では、腱の損傷部位を修復したり、炎症を引き起こしている部分を取り除いたりします。手術後は、リハビリを通じて膝の機能を回復させることが求められます。手術療法は、保存療法が効果を示さない場合の最終手段とされます。
当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
予防と日常生活で
気を付けること
ジャンパー膝は、予防することが可能です。以下のような対策を講じることで、膝蓋腱にかかる負担を減らし、症状の発症や再発を防ぐことができます。
正しいトレーニング
フォームの習得
特にジャンプやランニングを行う際は、膝にかかる負荷を最小限にするために、適切なフォームを習得することが重要です。
ストレッチと
筋力トレーニング
膝周囲の筋肉を強化することで、膝蓋腱にかかる負荷を軽減できます。また、柔軟性を保つためのストレッチも効果的です。
休息の重要性:運動を続けることも重要ですが、膝にかかる過度の負荷を防ぐために適切な休息を取ることが必要です。
適切な
靴の選択
膝への衝撃を和らげるために、クッション性のある運動靴を使用することが勧められます。
早期の診断と治療の重要性
ジャンパー膝(ランナー膝)は、早期に診断し、
適切な治療を行うことで進行を抑え、生活の質を向上させることができます。
膝蓋腱の痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診し、専門的な治療を受けることが大切です。
当クリニックでは、ジャンパー膝の診断とスポーツの治療に豊富な経験を持つ
医師と理学療法士が対応し、患者様一人ひとりに合った治療計画を提供しています。
お客様の健康と快適な生活を支えるために、専門的な診断と治療を行っていますので、
ぜひ一度、ご相談ください。
野球肩
野球肩とは
野球肩とは、野球の投球動作に伴って肩に痛みが生じる障害の総称です。特にピッチャーや外野手に多く見られ、肩の筋肉や関節、腱、靭帯などの構造に負担がかかることで発生します。野球肩は単なる一時的な痛みから、深刻な損傷を伴うケースまで幅広く存在し、症状の進行を防ぐためには早期の診断と治療が必要です。
症状
野球肩の主な症状は、肩に感じる痛みや違和感です。投球時や投球後に肩に鋭い痛みを感じることが多く、症状が進行すると肩の可動域が制限され、腕を上げたり、投げる動作が困難になることもあります。また、肩の筋力低下や関節の不安定感、肩の疲労感を感じることもあります。これらの症状は、初期には軽微であっても、無理をして投球を続けると悪化し、最終的には肩関節や腱の重大な損傷を引き起こす可能性があります。
野球肩の種類
インピンジメント症候群
インピンジメント症候群は、肩の動作時に上腕骨頭が肩峰や靭帯に衝突し、腱板や肩峰下滑液包に炎症を引き起こすことで発生します。特に肩を挙げたときに70°〜120°の角度で痛みが生じ、肩の動きが制限されることが特徴です。野球の投球動作やラケット競技など、腕を繰り返し上げるスポーツで多く発症します。治療はリハビリやストレッチを中心に行いますが、重度の場合は手術も検討されます。
腱板損傷
市腱板損傷は、肩の中の棘上筋や棘下筋など4つの筋肉の腱が損傷する状態を指します。特に、投球動作や転倒時の外傷が原因で、腱が上腕骨頭から剥がれたり、破れたりすることがあります。症状としては、腕が上がらない、夜間痛、腕を下ろす際の痛みなどが挙げられます。重症化すると日常生活にも支障をきたし、場合によっては手術が必要となることもあります。
リトルリーグショルダー
(上腕骨骨端線離開)
リトルリーグショルダーは、成長期の子どもが過度な投球による負担で、上腕骨の骨端線に損傷を受ける状態です。成長軟骨が弱いため、繰り返される負荷が骨端線離開を引き起こし、肩の痛みや成長障害に繋がります。投球時やその後に肩の痛みが生じ、放置すると成長に悪影響を与えるため、早期の診断と治療が重要です。治療には安静が推奨され、成長に応じた負荷の調整が必要です。
ルーズショルダー
(動揺肩、動揺性肩関節症)
ルーズショルダーは、肩関節の靭帯や関節包が緩んでいるために発生する肩の不安定感を特徴とする症状です。バレーボールやテニスなどの腕を高く振り上げるスポーツで多く見られます。肩が抜けるような感覚や、投球時に痛みが伴うことがあります。特に関節が正常範囲以上に動く場合、肩の損傷リスクが高まるため、筋力トレーニングやリハビリによって関節の安定化を図ります。
肩甲上神経損傷
肩甲上神経損傷は、肩甲骨の上部にある神経が投球動作などで引っ張られたり圧迫されることで発生します。主に棘下筋を支配するこの神経が損傷されると、肩甲骨周辺の筋肉が萎縮し、肩の後ろ側や外側に痛みが広がります。肩甲骨の突出が目立つようになり、肩全体に疲労感を覚えることも特徴です。早期のリハビリや安静が回復に効果的ですが、重症化した場合は手術が必要になることもあります。
原因
野球肩の原因は、主に投球動作における肩への過度な負荷です。野球の投球動作は、肩関節に極めて高い負担をかけるため、特にピッチャーや外野手は繰り返しの動作によって肩の腱や靭帯、関節周囲の筋肉が疲労しやすくなります。また、投球フォームが適切でない場合や、筋力バランスの乱れ、肩周囲の柔軟性の低下が原因となって発生することもあります。
さらに、成長期の子供や青年期の選手では、骨や筋肉がまだ十分に発達していないため、過度な練習や投球が成長に影響を与えることもあります。これにより、肩の関節や軟骨がダメージを受け、骨の成長に支障をきたすことも少なくありません。
診断
野球肩の診断は、問診、触診、画像診断を通じて行われます。医師は患者の症状や投球歴、投球時の痛みの特徴を確認し、肩の動きをチェックすることで、どの部分に問題があるかを特定します。腕を外に開いたり、捻ったりした際に肩のどの部分に違和感や痛みが出るかを確認します。
また、投球動作のどのタイミングで痛みがでるのか、投球フォームに問題がないかなど実際のスポーツ動作の中から診断していく必要もあります。投球障害と一言にいっても、痛みを出している直接の原因はさまざまであり、単一の原因ではないと考えられることがほとんどです。結果として肩の痛みが発症したとしても根本的な原因が肩以外に隠れていることも少なくないため、股関節や脊椎の可動域など全身の状態を確認していきます。
問診・触診
問診では、患者がどのような状況で痛みを感じるのか、痛みの度合いや発生時期、これまでの野球歴などを確認いたします。また、触診によって肩の腱や筋肉の硬さ、炎症の有無、可動域の制限などを評価いたします。これにより、肩のどの部分に問題が生じているかを詳細に把握し、適切な治療方針を立てます。
画像診断
画像診断では、レントゲンやMRI、超音波検査などが使用されます。これにより、肩関節の状態や腱・靭帯の損傷の有無、骨や関節の異常が確認できます。特に、腱や靭帯の状態を詳しく評価するためにはMRIが有効です。また、レントゲンでは骨の変形や関節の状態を確認することができます。画像診断に基づいて、保存療法が適切か、あるいは手術療法が必要かが判断されます。
当院では、MRI・CTは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。
ストレステスト
野球肩のストレステストは、肩関節に対して特定の負荷をかけることで、筋萎縮の有無、周囲の軟部組織に異常がないかを評価する方法です。具体的には肩を外旋・内旋させて痛みや違和感が生じるか確認します。日本高校野球連盟が提供する「投手関節機能検診マニュアル」などを参考に、正確な手順を踏んで行うことで、肩の状態を正しく診断できる場合があります。
治療方法
野球肩の治療は、症状の重さや原因によって異なります。大きく分けて保存療法と手術療法の2つに分類されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
保存療法は、まず最初に試みられる治療法であり、手術を避け、自然治癒やリハビリテーションによって症状を改善させることを目指します。以下のような方法があります。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
野球肩の治療において、理学療法士による運動療法は非常に重要です。運動器リハビリテーションでは、肩の筋力を向上させ、柔軟性を高めるために筋力トレーニングやストレッチが行われます。たとえば、肩甲骨の動きを改善し、肩の筋肉バランスを整えることで、投球動作に伴う肩への負担を軽減します。
また、理学療法士は患者一人ひとりの症状に応じたリハビリプランを作成し、正しい姿勢や投球フォームを習得させることで、再発防止を目指します。さらに、肩にかかる負荷を軽減する方法を指導します。
薬物療法
薬物療法としては、痛みを軽減するために非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)や、場合によってはステロイド注射が使用されることがあります。これにより、炎症を抑え、痛みを和らげることができます。ただし、これらの薬はあくまで一時的な症状緩和を目的としており、根本的な原因を解決するためには、運動療法との併用が推奨されます。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(炎症の原因となる物質:プロスタグランジン類)
※ステロイド注射
ステロイドとは副腎皮質ホルモンの一種で、細胞膜を通過して細胞の持つ免疫作用を調整します。それにより、腫れや痛みを抑えることができます。
手術療法
保存療法で効果が見られない場合や、肩の関節や腱、靭帯に重大な損傷がある場合には、手術療法が検討されます。手術療法には、肩の靭帯を修復する手術や、肩関節の変形を矯正する手術などがあります。手術後は、再び投球ができるようになるためのリハビリが重要であり、慎重に行う必要があります。
当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
予防と日常生活で
気を付けること
正しい投球フォームを
習得する
無理な投球フォームは肩に過度な負担をかけます。プロの指導のもとで正しいフォームを学び、投球動作を最適化することが大切です。
肩の柔軟性と筋力を
維持する
肩や肩甲骨周囲の筋肉を定期的にストレッチし、筋力トレーニングを行うことで、肩の柔軟性を保ち、筋肉を強化して肩への負荷を軽減します。セルフトレーニングは、継続的なリハビリテーション効果を維持するために欠かせません。理学療法士が、患者様の生活習慣や環境を考慮したトレーニングプランを提供し、日常的に無理なく取り組めるように指導します。
適切な
休息を取る
過度な投球や練習を避け、適切な休息を取ることが重要です。肩に疲労が溜まると怪我のリスクが高まるため、回復期間をしっかり設けましょう。
早期の診断と治療の重要性
野球肩は、早期に診断し適切な治療を行うことで、その進行を抑え、
生活の質やスポーツのパフォーマンスを向上させることができます。
肩の痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
当クリニックでは、野球肩の診断と治療に専門的な知識と経験を持つ医師が対応いたします。
あなたの健康と快適な生活のために、サポートいたします。
ぜひ一度、ご相談ください。
野球肘
野球肘とは
野球肘は、小中学生の野球選手によく見られるスポーツ障害の一つです。主に投球動作における繰り返しのストレスが肘関節にかかることで生じ、肘の内側や外側に痛みを伴います。野球における投球は、強い負荷が肘に集中する動作です。このため、野球選手、とりわけ投手は、肘に過度なストレスをかけることが多く、それが野球肘の主な原因となります。
野球肘の主な症状は、肘の内側や外側に感じる痛みです。
初期には、投球後に痛みを感じる程度ですが、進行すると日常生活に支障をきたすほどの痛みが出ることがあります。
また、肘の可動域が制限され、腕を完全に伸ばしたり、曲げたりするのが困難になることもあります。
痛みが続く場合や、可動域の制限が進行すると、選手生命に影響を与える可能性もあります。
原因
野球肘の主な原因は、投球動作における過度なストレスです。特に、成長期の子どもや青少年は、まだ骨が成長途中であるため、関節や骨にかかる負荷が大きくなることがあります。投球回数の多さや不適切なフォームも、野球肘を引き起こす原因となります。また、投手に限らず、捕手や外野手など、投げる動作を繰り返すポジションの選手にも発症するリスクがあります。
診断
野球肘の診断は、問診や触診、画像診断を通じて行われます。
問診・触診
まず、医師は患者の症状や経過について詳しく聞き取ります。投球後の痛みの有無、可動域の制限、肘を動かした際の痛みの部位などが重要な情報です。次に、触診によって肘関節周囲の痛みの程度や炎症の有無を確認します。肘の内側や外側を圧迫し、痛みが出るかどうかを調べることで、損傷の程度を把握します。
画像診断
X線やMRIなどの画像診断を行うことで、肘関節の状態を詳細に評価します。特にX線では、骨の成長線の異常や骨端部の分離、変形などを確認することができます。MRIでは、軟骨や靭帯の損傷状態を詳しく調べることができ、治療方針を決定する上で重要な情報が得られます。
当院では、MRI・CTは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。
ストレステスト
野球肘のストレステストは、肘関節に対して特定の負荷をかけることで、内側側副靱帯や周囲の軟部組織に異常がないかを評価する方法です。具体的には肘を屈曲しながら手首に外反や内反の力を加え、痛みや違和感が生じるか確認します。日本高校野球連盟が提供する「投手関節機能検診マニュアル」などを参考に、正確な手順を踏んで行うことで、肘の状態を正しく診断できる場合があります。
治療方法
野球肘の治療は、症状の重さや原因に応じて異なりますが、主に保存療法、手術療法に分類されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
野球肘の初期段階では、手術を行わず、まず保存療法を選択することが一般的です。保存療法の中心は、安静と運動器リハビリテーションです。患部に負担をかけないようにするため、一定期間投球を控えることが推奨されます。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、筋力トレーニングやストレッチを組み合わせたアプローチを行っています。肘の動きを改善し、筋力を高め、関節の機能を回復させることを目指します。具体的には、肩や腕の筋肉を鍛えることで肘への負荷を軽減し、正しい投球フォームを習得するためのサポートを行います。
また、日常生活での動作指導も重要な要素です。患者様には、肘に負担をかけない姿勢や動作を指導し、再発防止を図ります。再発を防ぐためには、正しい姿勢や動作を身につけることが非常に重要です。当院では、患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。研究に基づいたアプローチと理学療法士の専門知識を活かし、症状の回復を目指します。肘の痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
薬物療法
保存療法と併用して、痛みや炎症を抑えるための薬物療法が行われることもあります。主に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬が使用され、症状の軽減を図ります。場合によっては、ステロイド注射を行い、炎症を抑える治療も選択されます。ただし、薬物療法は一時的な症状の緩和を目的とするため、根本的な治療には運動器リハビリテーションが不可欠です。
手術療法
保存療法や薬物療法で効果が見られない場合や、症状が重い場合には手術療法が検討されます。手術では、関節内部の損傷した組織を修復したり、軟骨や骨の異常を取り除くことが行われます。特に、肘の内側の靭帯損傷が重度の場合、靭帯再建手術が必要となることがあります。
当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
特に多い学生スポーツにおける
野球肘の予防方法!
正しいフォームの習得
野球肘を予防するためには、正しい投球フォームを習得することが重要です。投球時に肘に過度な負担がかからないように、肩や体全体を使ったスムーズな投球動作を心がける必要があります。コーチや専門家からの指導を受け、適切なフォームで投球できるようにすることが効果的な予防策です。
投球数の管理
過度な投球は、肘に大きな負担をかけ、野球肘の発症リスクを高めます。特に成長期の選手は、骨や関節がまだ未成熟なため、適切な休養を取ることが不可欠です。以下のようなガイドラインを守り、投球数を管理しましょう。
- 連続して投げる日数を制限する
- 連日投げない
- 1日の投球数を制限する
- 例:小学生なら50球、中学生なら80球など
- 十分な休息日を設ける
- 週に2〜3日は投球を休む
これにより、肘の負担を軽減し、怪我のリスクを抑えることができます。
肘や肩のストレッチと筋力トレーニング
日常的にストレッチを行い、肩や肘の柔軟性を高めることも野球肘の予防に役立ちます。肩や肘の関節が硬くなると、投球時に余計な負担がかかることがあります。投球前にはしっかりとストレッチを行い、体を温めることが大切です。
また、筋力トレーニングによって肩や腕、背中などの筋肉を鍛えることも重要です。特に、肩甲骨周りや上腕の筋力を強化することで、肘への負荷を分散させることができます。理学療法士が、患者様の生活習慣や環境を考慮したトレーニングプランを提供し、日常的に無理なく取り組めるように指導します。
早期の診断と治療の重要性
野球肘は、早期に診断し、適切な治療を行うことで進行を防ぐことができます。
肘の痛みや違和感を感じた場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
当クリニックでは、野球肘の診断と治療に専門的な知識と経験を持つ医師が対応しております。
患者様の症状やニーズに合わせた最適な治療プランを提供し、早期回復をサポートいたします。
骨折
骨折とは
骨折とは、骨が外部からの衝撃や圧力によって折れたり、ひびが入ったりする状態を指します。骨折は一般的に完全に骨が折れた状態をイメージされることが多いですが、骨にひびが入っただけのものや骨の一部が欠けたり、陥没したものも「骨折」に含まれます。骨折は身体のどの部位でも発生しうるもので、生活習慣やスポーツ活動、事故などによってさまざまな状況で起こる可能性があります。骨折が疑われる場合、適切な診断と治療を早期に受けることが、回復を早め、長期的な合併症を防ぐために重要です。
骨折の主な症状としては、折れた部位に強い痛みが発生することが挙げられます。また、骨折部位が腫れたり、変色(皮下出血)したりすることもよく見られます。患部の動きが制限されることが多く、例えば腕の骨が折れた場合にはその腕を動かすことが困難になります。さらに、骨折した骨が皮膚を突き破って露出することがある「開放骨折」では、激しい痛みとともに感染のリスクも高まります。症状の程度は、骨折の種類や部位、損傷の程度によって異なりますが、骨がずれた場合には患部が不自然な形状になることもあります。
原因
外傷性骨折
骨は非常に強靭な組織であり、大きな衝撃が加わっても通常は耐えることができます。しかし、骨の強度を超える強い力が加わると、骨が完全に折れたり、ひびが入ったり、粉々になることがあります。
外傷性骨折には、皮膚が破れて骨が外に露出する「開放骨折」、骨が複雑に砕けた「粉砕骨折」、骨がずれずにひびだけが入る「不全骨折」などがあります。
病的骨折
病的骨折は、骨の強度が低下している場合に発生します。たとえば、骨粗鬆症や骨腫瘍(原発性や転移性)などの疾患により、骨が弱くなると、通常では折れることのない軽い衝撃や転倒でも骨折することがあります。このような場合、病気が原因となって骨が折れやすい状態になっているため、特別な外力が加わらなくても骨折が発生することがあります。
疲労骨折
健康な骨であっても、特定の部位に長期間にわたって繰り返し負荷がかかると、骨折することがあります。このような骨折を「疲労骨折」といいます。スポーツでの激しい反復動作や、ジャンプやランニングなどの持続的な運動が原因で骨に小さな亀裂が入ることがあります。 疲労骨折が起こりやすい部位には、脛骨(すねの骨)、中足骨(足の指の付け根)、腓骨(すねの外側の骨)などがあります。また、腰椎(腰の骨)、大腿骨(太ももの骨)、恥骨(足の付け根の骨)でも疲労骨折が見られることがあります。
特に、陸上競技、体操、テニス、バスケットボール、野球などのスポーツを定期的に行う方や、重い荷物を繰り返し運ぶような仕事をしている方は、疲労骨折のリスクが高いと言われています。また、スポーツを始めた後に急激に負荷が増える時期(例:新学期が始まって数か月後の6〜7月頃)には、特に注意が必要です。
診断
特に、陸上競技、体操、テニス、バスケットボール、野球などのスポーツを定期的に行う方や、重い荷物を繰り返し運ぶような仕事をしている方は、疲労骨折のリスクが高いと言われています。また、スポーツを始めた後に急激に負荷が増える時期(例:新学期が始まって数か月後の6〜7月頃)には、特に注意が必要です。
問診・触診
問診では、患者の骨折の経緯や痛みの状況について詳しく聞かれます。例えば、転倒した瞬間やスポーツ中の動作で痛みが発生したか、また痛みが増す動作や状況などが確認されます。次に、医師は触診を通じて、骨折部位の腫れ、変形、痛みの程度をチェックします。場合によっては、可動域の確認や圧痛の有無を評価し、骨折の可能性が高いかどうかを判断します。
画像診断
骨折の正確な診断を行うためには、画像診断が不可欠です。まず一般的にはレントゲン検査が行われ、骨の状態を確認します。レントゲンでは骨折の部位、骨のずれ、骨のひびなどが確認されます。しかし、骨折の種類や位置によっては、レントゲンだけでは詳細が把握しにくい場合があり、その際はCTスキャンやMRIが追加されることもあります。CTスキャンでは骨の断面を詳細に観察でき、複雑な骨折や細かい骨の損傷を確認するのに適しています。MRIは骨だけでなく、周囲の筋肉や靭帯、神経の状態を確認するのに適しており、特に骨折が神経に影響を及ぼしているかどうかを調べるのに有効です。
当院では、MRI・CTは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。
治療方法
骨折の治療は、骨折の部位や程度、患者の年齢や体調に応じて異なります。一般的には、保存療法と手術療法に分類されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
手保存療法は、骨折が軽度であり、骨が自然に治癒する可能性がある場合に適用されます。例えば、骨がずれていない場合や、ずれが少ない場合には、ギプスや装具で固定し、自然治癒を待ちます。保存療法では、固定期間中に骨が正しくくっつくことを促進し、外力や動きによる再度のずれを防ぐことが目的です。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
保存療法の一環として、理学療法士による運動療法が行われます。骨が治癒した後、周囲の筋肉や関節の機能が低下していることが多いため、筋力トレーニングやストレッチを通じて、患部の機能回復を図ります。当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、筋力トレーニングを行い、関節の動きを改善し、筋力を高め、骨折後の機能を回復させます。さらに、患者様が日常生活で適切な動作や姿勢を取れるよう、動作指導も行っています。再発防止のためには、正しい姿勢と適切な動作を習得することが重要です。患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供し、研究に基づいたアプローチで回復を目指します。骨折後の痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
薬の服用などで症状を軽減する方法(薬物療法)
保存療法では、薬物療法も併用されることが多いです。骨折部位の痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されることがあります。また、強い痛みが続く場合には、神経痛を和らげる薬や鎮痛薬が処方されることもあります。これらの薬物療法を適切に組み合わせることで、痛みをコントロールしながらリハビリテーションに取り組むことが可能です。
※抗リウマチ薬(DMARDs)
関節リウマチの疾患活動性に影響を与える薬の総称です。抗リウマチ薬は免疫担当細胞や免疫物質(サイトカイン)に薬が作用することで骨破壊や関節炎の抑制効果を示しますが、疾患を治癒させる薬ではありません。
手術療法
手術療法は、骨が大きくずれている場合や、保存療法では治癒が困難な場合に選択されます。手術では、ずれた骨を金属製のプレートやネジ、ワイヤーで固定し、骨が正しい位置で治癒するように整復します。手術後は、安静期間とともに、段階的なリハビリテーションを行い、筋力や関節の機能を回復させます。
当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
予防と日常生活で
気を付けること
手骨折を予防するためには、適切な生活習慣を心がけることが重要です。特に高齢者や骨粗鬆症を抱える方は、転倒しないように注意が必要です。転倒予防としては、家の中の段差をなくす、滑りにくい靴を履くなどが効果的です。また、骨の健康を維持するために、適度な運動やバランスの取れた食事が推奨されます。特にカルシウムやビタミンDを多く含む食事を心がけ、骨の強度を保つことが大切です。
早期の診断と治療の重要性
骨折は、早期に診断し適切な治療を行うことで、その進行を抑え、生活の質を向上させることができます。
痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
当クリニックでは、骨折の診断と治療に専門的な知識と経験を持つ医師が対応いたします。
あなたの健康と快適な生活のために、サポートいたします。
ぜひ一度、ご相談ください。