坐骨神経痛|松本市の整形外科|鈴木整形外科

院長ノート DOCTOR-NOTE

坐骨神経痛

坐骨神経痛とは

坐骨神経痛とは、腰からお尻、太ももの裏側、ふくらはぎにかけて伸びる坐骨神経が圧迫されたり、刺激されたりすることで起こる痛みやしびれの総称です。
多くの人が経験する腰痛とは異なり、坐骨神経痛の特徴は、その痛みが腰からお尻、そして足先まで広がっていくことです。まるで電気が走るような痛みやしびれ、時には焼けるような感覚や冷えを感じることもあります。
この痛みは、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。歩く、座る、立つといった基本的な動作でさえも困難になり、睡眠不足や精神的なストレスに繋がることも少なくありません。

症状

坐骨神経痛の症状は、人によって様々ですが、多くは腰やお尻から始まり、
太ももの裏側、ふくらはぎ、足先へと広がる痛みやしびれです。

  • 痛み:鋭い痛み、鈍い痛み、焼けるような痛みなど、痛みの種類も様々です。
  • しびれ:感覚が鈍くなったり、ピリピリとしたり、チクチクとしたりといったしびれを感じます。
  • 筋力低下:足に力が入りにくくなったり、歩行が困難になったりすることがあります。
  • 感覚異常:足の冷えや熱さを感じにくくなったり、触られた感覚が分かりにくくなったりすることがあります。

これらの症状は、片側のみに現れることが多いですが、両側に現れる場合もあります。
また、咳やくしゃみ、排便時に症状が悪化することがあります。

原因

坐骨神経痛を引き起こしている原因は様々ですが、主な理由として“腰椎疾患”があります。なかでも特に多い病名は「腰部脊柱管狭窄症」(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と「腰椎椎間板ヘルニア」(ようついついかんばんヘルニア)です。

腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛

腰部脊柱管狭窄症は、加齢に伴い背骨の中を通る脊柱管が狭くなることで、神経根や馬尾神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こす疾患です。
50歳以上の中高年に多く見られますが、生まれつき脊柱管が狭い方は30〜40代で症状が現れることもあります。
腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛の特徴として、体を後ろに反らすと痛みが強くなるという点が挙げられます。これは、体を後ろに反らすことで脊柱管がさらに狭くなり、神経を圧迫するためです。
具体的には、以下のような動作で痛みが出たり、痛みが強くなったりすることがあります。

高いところのものを取る
腰をひねる
背筋を伸ばす

逆に、前かがみになると脊柱管が広がるため、自転車に乗ったり、靴下を履いたりする動作は比較的楽に行えます。

腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛

腰椎椎間板ヘルニアは、20代に最も多く発症し、30〜40代、10代の若い世代にも多く見られる疾患です。椎間板は、背骨の骨と骨の間にあるクッションのような役割を果たしていますが、これがつぶれて飛び出すことで、腰椎の神経を圧迫し、坐骨神経痛を引き起こします。
前かがみになると痛みが強くなる傾向があり、以下のような姿勢や動作は腰への負担が大きいため、椎間板が飛び出しやすくなり、痛みが出ることがあります。

あぐらや横座り
中腰での作業
猫背

診断

坐骨神経痛の診断において、問診、触診、画像診断そして様々なテストは非常に重要です。これらを組み合わせることで、痛みの原因や坐骨神経の圧迫部位を特定し、適切な治療方針を決定することできます。

テスト

下肢伸展挙上テスト
下肢伸展挙上(SLR)テストとは、腰部神経根症状の有無を確認するための検査で、患者を仰向けに寝せて術者の手を踵部にかけて、膝を伸展位のまま挙上したときに、70°以下の範囲の挙上で坐骨神経に沿う腰臀部から大腿後面、下腿部に及ぶ放散痛が現れたときに陽性所見とされます。
大腿神経伸展テスト
大腿神経伸展( FNST)テストとは、腰部神経根症状の有無を確認するためのテストです。患者の方をうつ伏せに寝た状態で、膝関節を屈曲、股関節を伸展させます。大腿神経を緊張させ疼痛を誘発させて、大腿前面に疼痛が現れたときに陽性所見とされます。
画像診断

坐骨神経痛の診断では、主にレントゲンやMRIの検査を行います。レントゲンでは骨折や腫瘍などの有無を調べ、MRIでは椎間板や神経の状態などの詳細を確認し、患者様が訴える症状や年齢なども考慮しながら診断します。
また、腰の骨がどの程度近づいているかの狭窄程度や、それによる坐骨神経の圧迫の程度を評価することで、実際に起きている症状と一致するかどうかなどをチェックします。
坐骨神経痛の原因として、特に多い腰椎椎間板ヘルニアは、MRIや脊髄造影検査でしか診断できません。外来で簡単に検査ができ、得られる情報も多いので、坐骨神経痛の疑いがあるときは、MRIをおすすめします。
当院では、MRIは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。