腰椎椎間板ヘルニアの治療方法は、痛みの緩和と機能の回復を目指します。以下に主な治療方法を紹介します。
保存療法
保存療法は、多くの腰椎椎間板ヘルニア患者に対して最初に試みられる治療法です。
休息と姿勢改善
安静を保ちながら、腰に負担のかからない姿勢を維持します。特に、座り方や寝方に注意を払い、背骨の負担を軽減する工夫が必要です。
鎮痛薬の使用
市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を使用して痛みを和らげます。
※アセトアミノフェン:アセトアミノフェンは主に脳にある「体温調節中枢」に作用し、血管や汗腺を広げることで体外へ熱を逃し、熱を下げる働きをします。また、脳の中の発熱や痛みの情報を伝える物質を抑える作用があることから、頭痛や生理痛、関節痛などさまざまな痛みを和らげる働きをもっています。つまり、「解熱」と「鎮痛」という2つの効果を併せもつ成分です。
※イブプロフェン:解熱薬や鎮痛薬として使われる成分の一つです。痛みや熱の原因物質であるプロスタグランジンの体内での生成を抑え、鎮痛、解熱効果を発揮する他、抗炎症作用もあります。頭痛や関節痛、生理痛の他、かぜによる喉の痛みの緩和や解熱にも使用され、解熱鎮痛薬としてだけでなく、総合感冒薬(かぜ薬)にも配合されています。
物理療法
温熱療法により腰の筋肉を温めることで、血流を改善し、筋肉の緊張を緩和します。電気療法により低周波治療器を用いて、筋肉の痛みや痙攣を緩和します。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
腰の筋肉を強化するための特定のエクササイズを行います。これにより、腰への負担を軽減し、再発を防止します。
- 筋力強化エクササイズ
- 腹筋や背筋を中心とした筋力を強化するエクササイズを行います。また、下肢の筋力強化も腰椎椎間板ヘルニアにとって有効的です。
- ストレッチ
- ハムストリングと腰回りのストレッチにより姿勢改善にも繫がります。
当院では、患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。研究に基づいたアプローチと、理学療法士の専門知識を活かし、最適な治療を提供いたします。腰の痛みでお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
注射療法
保存療法で十分な効果が得られない場合、注射療法をすることがあります。
硬膜外ステロイド注射
炎症を抑えるためにステロイド薬を腰の神経根周囲に直接注射します。これにより、短期間で痛みが軽減されることが期待できます。
※ステロイド:副腎皮質ホルモンの一種で、細胞膜を通過して細胞の持つ免疫作用を調整します。それにより、腫れや痛みを抑えることができます。
手術療法
保存療法や注射療法が効果を示さない場合、手術をおすすめします。当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
椎間板摘出術
突出した椎間板の一部または全体を取り除く手術です。この手術により、神経の圧迫が解消され、痛みやしびれが軽減します。
椎間板内治療
椎間板内に薬剤を注入する方法や、レーザーを用いて椎間板の一部を蒸散させる方法です。これにより、椎間板の圧力を軽減し、痛みを和らげます。
早期の診断と治療の重要性
腰椎椎間板ヘルニアは、適切な治療を受けることで症状を改善することができます。
腰の痛みや脚のしびれを感じたら、早めに医師の診察を受けることが重要です。
放置しておくと、症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性が高まります 。