腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアの症状
腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨(腰椎)と腰椎の間にある椎間板が変性して突出し、神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こす疾患です。中年以降の方に多く見られますが、重いものを持つ仕事や長時間の座位が多い若い世代でも発症することがあります。
椎間板は、背骨にかかる圧力を吸収し、クッションの役割を果たしています。しかし、加齢や過度の負荷により椎間板が変性し、中のゼリー状の物質(髄核)が外に飛び出すことがあります。この状態が「椎間板ヘルニア」です。
- 腰痛
- 脚の痛み
- しびれ
- 筋力低下
痛みがひどくなると、日常生活に
大きな支障をきたすことがあります。
治療方法
腰椎椎間板ヘルニアの治療方法は、痛みの緩和と機能の回復を目指します。以下に主な治療方法を紹介します。
保存療法
保存療法は、多くの腰椎椎間板ヘルニア患者に対して最初に試みられる治療法です。
休息と姿勢改善
安静を保ちながら、腰に負担のかからない姿勢を維持します。特に、座り方や寝方に注意を払い、背骨の負担を軽減する工夫が必要です。
鎮痛薬の使用
市販の鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)を使用して痛みを和らげます。
※アセトアミノフェン:アセトアミノフェンは主に脳にある「体温調節中枢」に作用し、血管や汗腺を広げることで体外へ熱を逃し、熱を下げる働きをします。また、脳の中の発熱や痛みの情報を伝える物質を抑える作用があることから、頭痛や生理痛、関節痛などさまざまな痛みを和らげる働きをもっています。つまり、「解熱」と「鎮痛」という2つの効果を併せもつ成分です。
※イブプロフェン:解熱薬や鎮痛薬として使われる成分の一つです。痛みや熱の原因物質であるプロスタグランジンの体内での生成を抑え、鎮痛、解熱効果を発揮する他、抗炎症作用もあります。頭痛や関節痛、生理痛の他、かぜによる喉の痛みの緩和や解熱にも使用され、解熱鎮痛薬としてだけでなく、総合感冒薬(かぜ薬)にも配合されています。
物理療法
温熱療法により腰の筋肉を温めることで、血流を改善し、筋肉の緊張を緩和します。電気療法により低周波治療器を用いて、筋肉の痛みや痙攣を緩和します。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
腰の筋肉を強化するための特定のエクササイズを行います。これにより、腰への負担を軽減し、再発を防止します。
- 筋力強化エクササイズ
- 腹筋や背筋を中心とした筋力を強化するエクササイズを行います。また、下肢の筋力強化も腰椎椎間板ヘルニアにとって有効的です。
- ストレッチ
- ハムストリングと腰回りのストレッチにより姿勢改善にも繫がります。
当院では、患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。研究に基づいたアプローチと、理学療法士の専門知識を活かし、最適な治療を提供いたします。腰の痛みでお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
注射療法
保存療法で十分な効果が得られない場合、注射療法をすることがあります。
硬膜外ステロイド注射
炎症を抑えるためにステロイド薬を腰の神経根周囲に直接注射します。これにより、短期間で痛みが軽減されることが期待できます。
※ステロイド:副腎皮質ホルモンの一種で、細胞膜を通過して細胞の持つ免疫作用を調整します。それにより、腫れや痛みを抑えることができます。
手術療法
保存療法や注射療法が効果を示さない場合、手術をおすすめします。当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
椎間板摘出術
突出した椎間板の一部または全体を取り除く手術です。この手術により、神経の圧迫が解消され、痛みやしびれが軽減します。
椎間板内治療
椎間板内に薬剤を注入する方法や、レーザーを用いて椎間板の一部を蒸散させる方法です。これにより、椎間板の圧力を軽減し、痛みを和らげます。
早期の診断と治療の重要性
腰椎椎間板ヘルニアは、適切な治療を受けることで症状を改善することができます。
腰の痛みや脚のしびれを感じたら、早めに医師の診察を受けることが重要です。
放置しておくと、症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性が高まります 。
院長よりプチ情報
なぜ腰椎椎間板ヘルニアが
骨粗鬆症患者に多いのか?
腰椎椎間板ヘルニアは、骨粗鬆症患者に多く見られる傾向があります。骨粗鬆症は、骨の密度が低下し、骨折しやすくなる病気です。腰椎椎間板ヘルニアの発症には、以下のような骨粗鬆症特有のリスク要因があります。
- 骨の脆弱化
- 骨粗鬆症により骨が脆くなると、椎間板にかかる圧力が増加し、椎間板が損傷しやすくなります。
- 姿勢の変化
- 骨粗鬆症により背骨の形状が変わり、椎間板に不均一な圧力がかかることがあります。これが椎間板の突出や破裂を引き起こす原因となります。
- 筋力の低下
- 骨粗鬆症患者は筋力低下を伴うことが多く、背骨を支える力が弱まるため、椎間板に過剰な負担がかかります。
これらのリスク要因から、骨粗鬆症患者は腰椎椎間板ヘルニアの発症リスクが高くなるのです。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、脊柱管という背骨の中を通る神経の通り道が狭くなることで、神経が圧迫される病気です。これにより、腰痛や足のしびれ、筋力低下などの症状が引き起こされます。
- 腰痛:腰部に持続的な痛みや違和感を感じることがあります。
- 足のしびれ:特に長時間歩いたり、立ち続けたりすると、足にしびれや痛みが生じます。
- 筋力低下:足の筋力が低下し、歩行が不安定になることがあります。
- 間欠性跛行:しばらく歩くと足の痛みやしびれが悪化し、休むと症状が軽減することがあります。
原因
加齢
年齢とともに、脊柱管が狭くなることが多いです。
椎間板の変性
椎間板が劣化し、膨らんで脊柱管を圧迫することがあります。
骨棘の形成
関節の周りに骨の突起(骨棘)が形成され、神経を圧迫することがあります。
外傷
外傷やけがによって脊柱管が狭くなることがあります。
診断
問診・触診
患者の症状(腰痛、下肢のしびれ、筋力低下)、発症時期、悪化因子(歩行や長時間の立位)、緩和因子(前屈姿勢、休息)、既往歴、日常生活への影響を詳細に確認します。
触診では、腰部の圧痛や筋緊張、可動域の制限を評価し、検査で反射や感覚異常、筋力低下を確認します。これにより、神経の圧迫状態や症状の重症度を判断します。
画像診断
- X線検査
- 骨の状態を確認し、椎間板や骨棘の変性をチェックします。
- MRI
- 脊柱管や神経の詳細な画像を取得し、神経の圧迫状態を確認します。
- CTスキャン
- 骨や軟部組織の詳細な断層画像を提供し、より詳細な診断を行います。
当院では、MRI、CTスキャンは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。
治療方法
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、筋力トレーニングやストレッチを行います。足腰の動きを改善し、筋力を高め、機能を回復させます。また、日常生活での動作指導を行い、再発防止のために正しい姿勢や動作を習得するお手伝いをします。
患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。研究に基づいたアプローチと、理学療法士の専門知識を活かし、症状回復を目指します。足腰の痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
薬の服用などで症状を
軽減する方法(薬物療法)
痛みや炎症を軽減するために、鎮痛薬や抗炎症薬が処方されることがあります。これにより、症状の緩和を図ります。
非ステロイド性抗炎症薬
(NSAIDs)
NSAIDsは、痛みや炎症を軽減するために広く使用されます。代表的な薬には、イブプロフェンやナプロキセンがあります。これらは短期間の使用で症状を緩和するのに有効です。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(炎症の原因となる物質:プロスタグランジン類)
手術療法
保存療法で効果が得られない場合や症状が重篤な場合、手術療法が検討されます。
椎間板切除術
椎間板切除術とは、脊椎の椎間板の一部を取り除く手術で、主に椎間板ヘルニアによって引き起こされる神経の圧迫を解放するために行われます。これにより、腰痛や足のしびれ、筋力低下などの症状を軽減します。手術は通常、内視鏡を用いて行われ、侵襲が少なく回復が早いのが特徴です。手術後はリハビリテーションを通じて筋力を回復させ、再発防止のための正しい姿勢や動作の習得が重要です。
脊柱管拡大術
狭くなった脊柱管を広げる手術です。主に椎弓(ついきゅう)の一部を削ることで神経の圧迫を解放し、痛みやしびれ、筋力低下などの症状を軽減します。この手術は通常、内視鏡や顕微鏡を用いて行われ、侵襲が少ないため回復が早いのが特徴です。術後はリハビリを通じて筋力を回復し、再発を防ぐための姿勢改善が重要です。
当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
予防と日常生活で
気を付けること
腰部脊柱管狭窄症は、早期に診断し適切な治療を行うことで、その進行を抑え、生活の質を向上させることができます。以下の点に注意することが重要です。
姿勢の改善
腰部脊柱管狭窄症の症状を軽減し、再発を防ぐためには、正しい姿勢の維持が非常に重要です。正しい姿勢を保ち、腰部への負担を軽減します。
適度な運動
定期的な運動は筋力を維持し、脊柱を支える筋肉を強化します。
ウォーキング、スイミング、ヨガなどの衝撃の少ない運動が推奨されます。
セルフトレーニング
足腰の柔軟性を高めるストレッチやエクササイズを日常的に行う。軽いストレッチや握り運動を定期的に行うことで、足腰の筋肉と腱をリラックスさせます。セルフトレーニングは、継続的なリハビリテーション効果を維持するために欠かせません。理学療法士が、患者様の生活習慣や環境を考慮したトレーニングプランを提供し、日常的に無理なく取り組めるように指導します。
早期の診断と治療の重要性
腰部脊柱管狭窄症は、早期に診断し適切な治療を行うことで、その進行を抑え、生活の質を向上させることができます。足腰の痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。当クリニックでは、腰部脊柱管狭窄症の診断と治療に専門的な知識と経験を持つ医師が対応いたします。あなたの健康と快適な生活のために、サポートいたします。ぜひ一度、ご相談ください。
腰椎分離症
腰椎分離症とは
腰椎分離症(ようついぶんりしょう)は、脊椎の腰部に位置する椎骨の一部が骨折することで生じる状態です。特に第五腰椎(L5)に発生することが多く、運動選手や重労働者に見られることが多い疾患です。この状態は、脊椎の安定性を損なう可能性があり、適切な治療が必要です。
腰椎分離症の症状は、以下のようなものがあります。
- 腰痛:最も一般的な症状で、特に運動や長時間の立位で悪化します。
- 坐骨神経痛:腰から下肢にかけての痛みやしびれ。
- 動作制限:腰を動かすときの痛みや制限。
- 筋力低下:下肢の筋力低下や感覚異常。
原因
腰椎分離症の主な原因は、繰り返しのストレスや過度な運動によるものです。以下に代表的な原因を挙げます。
スポーツ活動
特に体操、重量挙げ、柔道、サッカーなど、腰に負担がかかるスポーツ。
遺伝的要因
椎骨の構造に遺伝的な弱点がある場合。
急性の外傷
重い物を持ち上げる際の急激な動きや転倒。
診断
問診・触診
まず、患者の症状や発生状況について詳しく問診を行います。次に、触診により痛みの部位や筋肉の緊張状態を確認し、必要に応じて神経学的検査を実施します。
※神経学的検査:脳、脊髄、および神経の機能を調べるために行われる一連の質問と検査
画像診断
正確な診断には画像診断が重要です。以下の方法が一般的に使用されます。
- X線検査
- 骨折の有無や骨の形状を確認します。
- MRI検査
- 椎間板や神経の状態を詳細に評価します。
- CT検査
- 骨の詳細な構造を確認し、骨折の程度を評価します。
当院では、MRI・CTは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。
治療方法
腰椎分離症の治療は、症状の重さや原因によって異なります。大きく分けて保存療法、薬物療法、手術療法の三つに分類されます。
保存療法(手術をせず、
まず最初に取り組む治療法)
保存療法では、手術を行わずに症状の軽減を図ります。以下のようなアプローチが取られます。
安静
腰に負担をかけないよう、一定期間の安静が勧められます。
コルセットの使用
腰をサポートし、動きを制限するためのコルセットを使用します。
温熱療法
患部を温めて筋肉の緊張を和らげます。
理学療法士による運動療法
(リハビリ)
当院の理学療法士(PT)による運動器リハビリテーションでは、筋力トレーニングやストレッチを行います。腰部の動きを改善し、筋力を高め、脊椎の機能を回復させます。また、日常生活での動作指導を行い、再発防止のために正しい姿勢や動作を習得するお手伝いをします。
患者様一人ひとりの症状やニーズに合わせたリハビリプランを提供しています。研究に基づいたアプローチと、理学療法士の専門知識を活かし、症状回復を目指します。腰部の痛みや可動域の制限でお困りの方は、ぜひ当院へご相談ください。
薬物療法
薬物療法では、症状を軽減するために以下のような薬が使用されます。
- 鎮痛薬
- 痛みを和らげるための非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアセトアミノフェン。
- 筋弛緩薬
- 筋肉の緊張を和らげるための薬。
- 抗うつ薬
- 慢性的な痛みに対する効果が期待される場合に使用。
※非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、炎症の原因となる物質の生成を阻害します。(炎症の原因となる物質:プロスタグランジン類)
手術療法
保存療法や薬物療法で効果が見られない場合、手術療法が検討されます。手術の種類は、損傷の程度や部位により異なりますが、以下のような方法があります。
- 椎弓切除術
- 分離した椎骨の部分を除去し、神経の圧迫を軽減します。
- 脊椎固定術
- 分離した椎骨を固定し、脊椎の安定性を高めます。
当院では、手術療法は出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。術後は医師と理学療法士が細やかな連携をとりリハビリテーションを行います。
特に多い学生スポーツにおける
腰椎分離症の予防方法!
腰椎分離症は、スポーツをしている学生に多く見られる腰の怪我で、特に成長期の若者に発症しやすいです。早期に診断し適切な治療を行うことで、その進行を抑え、生活の質を向上させることができます。予防方法としては、以下のポイントが挙げられます。
股関節周囲の柔軟性を高める
股関節の柔軟性が乏しいと、腰椎に過剰な負担がかかりやすくなります。特に、腸腰筋や大腿四頭筋、ハムストリングスの柔軟性を高めることが重要です。
体幹の筋力強化
腹筋や背筋の筋力を強化することで、腰への負担を軽減し、腰椎分離症のリスクを下げることができます。クロスエクステンションなどの体幹トレーニングが推奨されています。
過度な練習を避ける
オーバートレーニングは腰椎分離症の原因となるため、適切な休息を取り入れ、練習量を管理することが重要です。
腰サポーターの使用
幅広い腰サポーターを使用することで、腰を保護し、負担を軽減することができます。
早期の診断と治療の重要性
腰の痛みや違和感を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。当クリニックでは、腰椎分離症の診断と治療に専門的な知識と経験を持つ医師が対応いたします。あなたの健康と快適な生活のために、サポートいたします。ぜひ一度、ご相談ください。