ドミノ骨折 ご存じですか?(危険な高齢者の骨粗鬆症)
こんにちは。今日を入れてあと2日で今年度も終了ですね。松本地域は年末年始、帰省される方を迎え入れる側の方が圧倒的に多いかと思います。楽しい年末年始になるように感染対策はきちっとしたいですね。
今回のブログは、親御さんがご高齢という方に是非読んでもらいたい内容です。久々に実家に帰られて、親御さんが以下のようなケースが見られませんか?気にして見てください。
当院は今年度の診察は28日で終了いたしましたが、年末に駆け込みで9人もの椎体骨折の方が受診しました。全員80代から90代です。患者さんに話を聞くと、
①最近特になにもしていないのに急に痛くなった
②痛みを我慢していたが徐々に痛みが増してきた
③あまり痛くないが背中を伸ばす事ができない
など、「整形外科にかかるほどではない」と本人が判断していたものが、実は骨折をしていたケースばかりでした。中には尻もちをつき受傷し、病院の救急外来にかかり圧迫骨折を指摘され、当院に紹介受診した患者さんもいました。症状は様々ですが、いずれも椎体の骨粗鬆症による圧迫骨折でした。いずれの方も、以前に骨折の既往がある人や、すでに数ヶ所骨折が認められている人であり、骨粗鬆症によるドミノ骨折でした。
近年、日本は超高齢化社会となってきています。特に長野県はその中でもトップクラスで、ここ松本市も例外ではありません。ただ、これに伴って「骨粗鬆症」といった病気が問題となってきます。骨粗鬆症は、以前は老化現象だと思われていましたが、これは高齢者に多い病気です。100歳になっても骨が丈夫な人はたくさんおり、くれぐれも言いますがただの老化現象ではありません。骨粗鬆症になると骨折が生じ易くなり、次から次へと骨折が連鎖する「ドミノ骨折」が起きやすくなります。近年のデータでは、一度背骨を骨折すると次の背骨の骨折を起こす危険性が5倍に、太もものつけ根の骨折を起こす危険性は2.5倍になることがわかっています。また、初回の骨折後1年以内がドミノ骨折の危険性が一番高いと言われています。そのため、骨粗鬆症と診断されたら、まずは最初の骨折を起こさないように治療を開始することが大事です。しかしながら不幸にも骨折した場合は、次の骨折を引き起こさないために、骨粗鬆症の治療をすぐに始めること、そして続けることはとても大切なことです。あまり知られていませんが、骨粗鬆症は、「介護が必要となった原因」の第一にもなっています。
寝たきりにならないためにも、ご高齢の親御さんがいらっしゃる方は、この年末年始の機会に、
①「骨粗鬆症の検査を受けること」
②「骨粗鬆症と診断されたら必ず治療を続けること」
③「少しでも痛かったり違和感がある場合は、空振りでもいいから整形外科を受診すること」
を口を酸っぱくして言っていただきたいです。
80代、90代の高齢者は、苦難の時代を生きた方々なので、どうしても我慢しがちですし、判断も自分一人に頼りがちです。元気でいるためにも、是非この3点を伝えてあげてください。
最後になりましたが、2021年、拙いブログを読んでくださりましてありがとうございました。来年も皆様にとって良い年になるように願っております。では良いお年を。
院長 鈴木成典