
頚椎症とは?
首の痛みや痺れ、その原因は「頚椎症」かもしれません。私たちの首は、7つの骨(頚椎)でできています。加齢とともに、骨と骨の間のクッションである椎間板がすり減ったり、靭帯が硬くなったりすることで、首に痛みや痺れなどの症状が現れることがあります。これが頚椎症です。主に、中年以降に発症することが多く、近年では若年層にも見られるようになってきました。現代社会において、デスクワークやスマートフォンの長時間使用など、首に負担をかける生活習慣が蔓延しています。その結果、頚椎症が増加傾向にあります。神経が圧迫されると、首や肩甲骨周辺の痛み、腕や手の痺れに悩まされることもあります。症状が出る場所によって「頚椎症性脊髄症」や「頚椎症性神経根症」と呼び方が変わる場合があり、両方が同時に起こることもあります。さらに、交通事故によるむち打ち症も頚椎症を引き起こす大きな要因の一つとなっています。
頚椎症の症状は、神経や脊髄が圧迫される部位や程度によって様々です。
代表的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 首の痛み
- 肩や腕の痛みやしびれ
- 神経症状
慢性的な首のこりや痛み / 首を動かしたときの痛み / 寝違えのような痛み
肩甲骨周囲の痛み / 腕や手のしびれ / 手の細かい動作がしにくい
歩行障害 / 排尿障害 / 手足の麻痺
原因
頚椎症の主な原因は、加齢による頚椎の変形です。具体的には、以下の様な変化が挙げられます。
椎間板の変性
椎間板は、骨と骨の間にあるクッションのような役割を果たしていますが、加齢とともに水分が失われ、弾力性が低下し、薄くなったり、飛び出したりすることがあります。
骨棘形成
椎間板の変性や骨への負担により、骨がとげ状に突起することがあります。この突起を骨棘といい、神経や脊髄を圧迫することがあります。
靭帯の肥厚
靭帯は、骨と骨をつないでいる組織ですが、加齢とともに厚く硬くなることがあります。
これらの変化により、脊髄や神経根の通り道が狭くなり、神経や脊髄が圧迫されて様々な症状が現れます。
その他にも、以下のような要因が頚椎症の発症リスクを高める可能性があります。
長時間のデスクワーク
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けることで、首に負担がかかり、頚椎症のリスクが高まります。
スマートフォンの使いすぎ
スマートフォンを長時間使用することで、首が前傾姿勢になり、頚椎に負担がかかります。
遺伝
頚椎症は、遺伝的な要因も関与していると考えられています。
喫煙
喫煙は、椎間板の変性を促進する可能性があります。
交通事故
交通事故によるむち打ち症は、頚椎に大きな負担をかけ、頚椎症を引き起こす可能性があります。特に、追突事故などでは、首が急激に鞭のようにしなることで、頚椎や周囲の組織に損傷が生じることがあります。
診断
問診・触診
医師は、患者の症状、病歴、生活習慣などを詳しく聞き取ります。特に、交通事故の後遺症で悩んでいる方は、事故当時の状況やその後の症状の変化などを詳しくお聞きします。また、首や肩周りの緊張や筋肉の緊張、圧迫を確認します。
画像診断
正確な診断を行うために、以下の画像検査が実施されることが多いです。
- レントゲン検査
- 頚椎の骨の状態、椎間板の狭小化、骨棘の有無などの頚椎症性変化を確認します。
- MRI検査
- 脊髄、神経根、椎間板、靭帯などの状態を詳細に確認することができます。
むち打ち症による損傷の程度を評価するためにも有効です。
当院では、MRI・CTは出来かねますので必要に応じて、近隣の関連病院である信州大学病院、相沢病院、丸の内病院に紹介させていただきます。